旧鳥羽小学校校舎 旧鳥羽小学校校舎の概要

旧鳥羽小学校校舎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/01 04:35 UTC 版)

旧鳥羽小学校校舎
正面玄関(2019年10月)
情報
旧名称 鳥羽市立鳥羽小学校
用途 文化財保管庫[1]
旧用途 学校施設
設計者 清水栄二[2]
施工 西本組[2]
建築主 鳥羽町
事業主体 鳥羽市
管理運営 鳥羽市教育委員会生涯学習課社会教育係
構造形式 鉄筋コンクリート構造
建築面積 1,087 m² [3]
延床面積 3,206.6 m² [4]
状態 外観のみ公開
階数 3
エレベーター数 0
着工 1928年(昭和3年)9月[5]
竣工 1929年(昭和4年)2月16日[5]
開館開所 1929年(昭和4年)9月[6]
所在地 517-0011
三重県鳥羽市鳥羽三丁目1番60号[2]
座標 北緯34度28分49.6秒 東経136度50分41.2秒 / 北緯34.480444度 東経136.844778度 / 34.480444; 136.844778 (旧鳥羽小学校校舎)座標: 北緯34度28分49.6秒 東経136度50分41.2秒 / 北緯34.480444度 東経136.844778度 / 34.480444; 136.844778 (旧鳥羽小学校校舎)
文化財 登録有形文化財建造物
指定・登録等日 2010年(平成22年)1月15日[2]
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構造・設計

旧鳥羽小学校校舎は鉄筋コンクリート構造3階建ての建築物であり、上から見るとEの字形をしている[2]清水栄二設計、西本組(現・三井住友建設)の施工による[2]。清水は神戸市役所の職員で、作品は兵庫県神戸市周辺に集中しているが、鉄筋コンクリート構造の建築物を設計できる数少ない建築家であったことから、各地の町村役場から受注しており、旧鳥羽小学校校舎もその1つである[9]

移転直前の教室配置[10]
西側 中央部 東側
3階 ロッカー図書館、普通教室 講堂 普通教室
2階 理科室、普通教室 普通教室、コンピュータ室、資料室 普通教室
1階 昇降口、普通教室 玄関、校長室、資料室、宿直室、放送室、印刷室 職員室、普通教室(特殊学級含む)、保健室、昇降口
正門

表面は長さ67.48 mあり、モルタルで仕上げている[11]ロマネスク建築を彷彿させる3連のアーチ窓や演台のようなバルコニーがアクセントになっている[12]

建築としての特徴は、背面の3階部分が斜面に張り出して、その内部が大空間の講堂となっていること、随所にアール・デコ調の意匠を取り入れていることである[2]、バルコニーはゴシック調を取り入れ、校舎1階には太い円柱の柱が廊下に立っている[13]。廊下は木材でできており、卒業生からは「温かみがある」と評価されていた[14]。内壁は漆喰が塗られている[15]

正門は、コンクリートに人造石洗い出し仕上げを施した門柱と鉄の門扉で構成され、どちらも経年劣化が進んでいる[16]。校舎北側の手洗い場は、水道の閉鎖に伴い蛇口が撤去され、外枠だけの状態で残っている[16]

現役の校舎として利用されていた頃には、プール体育館がない、バリアフリー非対応などの課題があった[14]

保存状態

校舎裏面(左側が講堂)

おおむね建築当初の状態を保っているが、床板は校長室などごく一部を除き全面的に張り替えられ、照明器具は玄関のペンダントライト以外交換された[15]建具は建設当時の木製のものが一部残存し、外側はアルミサッシに変更された[15]

2015年(平成27年)の「旧鳥羽小学校校舎保存活用計画」策定時点では、内壁の漆喰剥離、屋上の排水不良による内部の雨漏りが発生しており、北から南に傾斜する山腹に建設されたため、校舎北面と1階の採光不良と湿気が課題になっていた[15]

2022年(令和4年)11月28日から2023年(令和5年)3月17日にかけて、亀川組の施工により、外壁と屋上の改修工事が行われた[17]

立地

旧運動場(本丸跡)

旧校舎は九鬼嘉隆築城した鳥羽城の本丸跡地付近(二の丸跡[18])に建設された[19]。鳥羽城は標高40 mの城山に築城され、海側に大手門が設けられていた[19]1965年(昭和40年)12月9日三重県指定史跡「鳥羽城跡」が指定され、校地もこれに含まれたため、現地での建て替えが困難となった[20]

本丸跡そのものは、旧鳥羽小学校の運動場として使われていた[16]。学校の運動場としての利用を終えて以降、避難場所として利用されている[16]


  1. ^ a b c 鳥羽市教育委員会 2015, p. 12.
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n 鳥羽市教育委員会 2015, p. 2.
  3. ^ a b c d e f g 鳥羽市教育委員会 2015, p. 1.
  4. ^ 鳥羽市教育委員会 2015, p. 6.
  5. ^ a b c d e f g 鳥羽市史編さん室 1991, p. 314.
  6. ^ a b 鳥羽市史編さん室 1991, p. 316.
  7. ^ a b c 旧鳥羽小学校”. 伊勢志摩観光ナビ. 伊勢志摩観光コンベンション機構. 2024年1月1日閲覧。
  8. ^ a b c 中村欣一郎 (2017年11月1日). “vol.6 どうなるの?旧鳥羽小学校”. 中村欣一郎市長の「山椒は小粒でも…」. 鳥羽市総務課秘書広報係. 2019年10月29日閲覧。
  9. ^ 鳥羽市教育委員会 2015, p. 8.
  10. ^ 鳥羽市教育委員会 2015, p. 4.
  11. ^ 鳥羽市教育委員会 2015, p. 2, 4.
  12. ^ a b c 松下主「移転決定の鳥羽小 西洋建築様式、県内最初の鉄筋校舎は保存か解体か」読売新聞2006年4月26日付朝刊、三重A27ページ
  13. ^ a b 「城跡に建てられ80年― 鳥羽小の旧校舎で あす写生と撮影会」朝日新聞2009年7月17日付朝刊、三重版29ページ
  14. ^ a b c 「新校舎計画 住民も参加 バリアフリーも 鳥羽小」朝日新聞2000年7月17日付朝刊、三重版18ページ
  15. ^ a b c d 鳥羽市教育委員会 2015, p. 11.
  16. ^ a b c d 鳥羽市教育委員会 2015, p. 84.
  17. ^ 【施工事例】旧鳥羽小学校校舎外壁等改修工事(令和4年度)”. 株式会社亀川組 (2023年4月7日). 2024年1月1日閲覧。
  18. ^ 鳥羽城跡の観光スポット情報”. 観光三重. 三重県観光連盟. 2019年11月7日閲覧。
  19. ^ a b c 鳥羽市教育委員会 2015, p. 3.
  20. ^ 鳥羽市教育委員会 2015, p. 1, 3.
  21. ^ 鳥羽市史編さん室 1991, p. 148.
  22. ^ 鳥羽市史編さん室 1991, p. 148, 171, 314.
  23. ^ a b 鳥羽市史編さん室 1991, p. 314, 316.
  24. ^ 鳥羽市教育委員会 2015, p. 2, 6.
  25. ^ 鳥羽市史編さん室 1991, p. 1305.
  26. ^ 鳥羽市史編さん室 1991, p. 1306.
  27. ^ 鳥羽市史編さん室 1991, p. 1307.
  28. ^ 鳥羽市史編さん室 1991, p. 464.
  29. ^ a b 「鳥羽小校舎 移転新築を検討 用地交渉決裂なら改築」朝日新聞2004年1月9日付朝刊、三重版24ページ
  30. ^ "鳥羽小の校舎「現在地に新築」 市長、なお改築方針"朝日新聞2003年9月17日付朝刊、三重版28ページ
  31. ^ a b 「鳥羽小学校の移転、井村市長が断念表明」朝日新聞2004年6月8日付朝刊、三重版25ページ
  32. ^ 「鳥羽小移転予定地の工場敷地で土壌調査」朝日新聞2004年4月29日付朝刊、三重版23ページ
  33. ^ 「鳥羽小の移転先 小浜地区に決定 用地選定懇話会」朝日新聞2005年1月23日付朝刊、三重版25ページ
  34. ^ 「鳥羽小の移転、小浜地区断念 木田市長」朝日新聞2005年9月1日付朝刊、三重版25ページ
  35. ^ 「鳥羽小移転先は 堅神地区に決定 2年3カ月かけ決着」朝日新聞2006年4月1日付朝刊、三重版23ページ
  36. ^ 「鳥羽小校舎を文化財に 申請求め市長へ要望書 市民グループ」読売新聞2007年5月10日付朝刊、北勢版29ページ
  37. ^ 「鳥羽小の校舎保全 署名簿を議長が受理」読売新聞2008年6月3日付朝刊、北勢版29ページ
  38. ^ "鳥羽小学校の保存 市長「正式に決定」"朝日新聞2008年12月2日付朝刊、三重版27ページ
  39. ^ 鳥羽市教育委員会 2015, pp. 1–2.
  40. ^ 鳥羽市教育委員会 2015, pp. 9–10.
  41. ^ 鳥羽市教育委員会 2015, p. 18, 93.
  42. ^ 林一茂「鳥羽城跡 大井戸、改めて確認 直径2.7メートル、深さ17メートル 市教委」毎日新聞2013年10月26日付朝刊、三重版22ページ
  43. ^ a b 国登録有形文化財の旧校舎で児童合唱 鳥羽小150周年祝う”. 中日新聞 (2023年10月27日). 2024年1月1日閲覧。
  44. ^ 鳥羽市教育委員会 2015, p. 92.
  45. ^ 鳥羽市教育委員会 2015, pp. 11–12.
  46. ^ 心霊スポット?に興味 旧鳥羽小校舎に侵入疑い 愛知の少年逮捕 鳥羽署”. 伊勢新聞 (2023年7月11日). 2024年1月1日閲覧。
  47. ^ 鳥羽市教育委員会 2015, pp. 93–94.
  48. ^ 鳥羽市教育委員会 2015, pp. 1–99.


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