大宮総合車両センター
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整備済み車両に記される略号
- 名称変更前:「大宮工」または「OM」
- 変更後:「大宮総合車セ」または「OM」
と検査完了の日付(年月)が書き加えられる[19]。
組織体系
センターの組織には、所長以下、計画部門の部署が総務科、生産管理科(計画・工程管理・外注などの担当)、品質管理科(事故防止・保全指導など)、技術科(技術開発・教育・改造など)の4科、現場の施工部門の部署が車両検査科(出場検査・構内入換、東大宮センターの管轄、構内試運転などの担当)、車体一科(台車・輪軸など)、車体二科(車体・改造業務など)、車体三科(電気機器・空制機器)の4科あり、計8科体制で組織されている。技術科の下には台車・輪軸技術センターが属している。
東大宮センター
1969年4月に尾久客車区東大宮派出所として新設された東大宮操車場を前身に持つ車両基地で、分割民営化後、2001年4月の大宮支社発足に伴い小山電車区の下部組織となり、同電車区東大宮派出所となった。その後、組織改編に伴い小山車両センター東大宮派出所へ改称。2006年3月の組織変更で大宮総合車両センターの下部組織とされ、車両検査科管轄の東大宮センターに改称された。
業務内容
2020年時点のセンター本所の業務は、大宮支社、高崎支社などの新系列(255系、E259系など)および従来系列車両(211系、205系、185系など)の検査・修繕、改造、作業後の試運転、蒸気機関車の車体復元など。2006年3月に鎌倉総合車両所(現:鎌倉車両センター)の工場機能の廃止に伴い、首都圏の特急車両のメンテナンスが当センターへ移管となったため、多様な車両を取り扱う。
日本鉄道時代および国鉄時代は、検査・修繕は蒸気機関車や電気機関車を主力に、ディーゼル機関車、客車、気動車も担当していた。その中で車両製造も行われ、国産初の電気機関車ED40形やD51形蒸気機関車、客車を製造した。気動車では、特急「はつかり」に運用されたキハ81系の緊急改造工事などを担当、キハ181系の検修、工場の技術レベルの粋を集めたガスタービン試作気動車キハ391-1の製造も行った。客車については、お座敷列車や「サロンエクスプレス東京」などのジョイフルトレインへの改造も積極的に取り組んできた。また、車両解体業務も行っていた。
民営化後は、電車・気動車・客車の検修業務と車両解体業務を引き継ぎ、電車や客車も製造したが、車両製造はその後メーカー製造へ譲った。気動車は、相模線や八高線など周辺各線区の電化が進むにつれて配置数が減少したため、八高線八王子 - 高麗川間が電化された1996年をもって気動車の検修を終了し、以降は残る各線の検修業務を郡山工場(現・郡山総合車両センター)に移管した[注 10]。客車も波動用車両やジョイフルトレインの廃車、寝台列車の縮小といった要因で減少したことで当センターでの担当客車は減少し、車両解体業務も長野総合車両センターに移管されたことにより、以前と比べると業務は電車の検査・修繕、改造などに特化されている。
以下、本所業務について、項目別に下記に示す。
検査・修繕(検査体系と周期)
センターでは、「新保全体系」と「従来の保全体系」のもとで、検査周期を設定し、これに沿って検査修繕を進めている[20]。「新保全体系」は、2019年7月1日から検査周期が延長され、一般形はE231系以降が特急形はE257系以降の新系列電車はその対象になっているが[注 13][21][22][23]、209系や253系、255系などは対象外となっている。
新保全体系
新系列電車のうち209系、253系、255系がこの周期で行う。
- 指定保全:新製または前回の車体保全から 60万km以内
- 装置保全:新製または前回の車体保全から120万km以内
- 指定保全:新製または前回の車体保全から180万km以内
- 車体保全:新製または前回の車体保全から240万km以内
2019年7月1日から、E231系、E257系、E259系、EV-E301系などは以下の周期で行う。
- 指定保全:新製または前回の車体保全から 80万km以内
- 装置保全:新製または前回の車体保全から160万km以内
- 車体保全:新製または前回の車体保全から320万km以内
従来の保全体系
電車、蒸気機関車、客車3車種別々の周期となる。
- 205系・211系・651系などの電車
- 重要部検査(要検):前回の全検から48か月または60万kmごと(205系・211系・651系など)および48か月または40万kmごと(115系・185系など)
- 全般検査(全検):上記の要検から48か月または前回の全検から96か月ごと
- 蒸気機関車
- 中間検査 (B) :前回の全検から24か月ごと
- 全般検査:上記の中間検査 (B) から24か月または前回の全検から48か月ごと
- 客車は全検のみで、前回の全検から72か月または80万kmごと
検査担当地域
当センターにおける検査担当地域を各支社別に示す。
電車
- 大宮支社
- 大宮総合車両センター東大宮センター:185系、253系1000番台、651系1000番台、E257系2000番台・2500番台
- 小山車両センター:205系600番台、E231系(一時的)、EV-E301系
- 川越車両センター:209系3100番台、209系3500番台[W 4]、E231系3000番台(一時的)
- 東京支社
- 東京総合車両センター:クモヤ143
- 八王子支社
- 横浜支社
- 千葉支社
- 幕張車両センター:209系2000番台・2100番台[W 4]、255系、E257系500番台、
- 京葉車両センター:209系500番台[W 5][W 6]、E231系0番台・900番台(武蔵野線運用)(一時的)
- 高崎支社
- 新潟支社
客車
- 東京支社
- 他社からの委託
蒸気機関車
- 高崎支社
- ぐんま車両センター:D51 498、C61 20
- 新潟支社
- 新津運輸区:C57 180
- 盛岡支社
- 他社からの委託
過去の検査担当形式
- 蒸気機関車
改造
これまで各種の改造工事を実施してきたが、主な改造工事を下記に示す[27][28]。
- 転用改造
- 205系0番台→川越線3000番台、武蔵野線5000番台化など。
- 209系→総武本線などの千葉方面向け改造など。
- 211系→中央本線、篠ノ井線他長野方面各線向け、上越線、両毛線、吾妻線向けの砂マキ器取り付け、その他機器の改造など。
- 253系0番台→特急「日光」「きぬがわ」向け1000番台化など。
- E231系0番台→中央・総武各駅停車から武蔵野線向け改造など。
- ジョイフルトレインへの改造
- 485系→お座敷電車「宴」「華」
- 12系→お座敷客車「なごやか」「新潟お座敷列車」「江戸」「やすらぎ」
- 14系→お座敷客車「ゆとり」、14系欧風客車「サロンエクスプレス東京」「スーパーエクスプレスレインボー」など。
- 24系→寝台車「あさかぜ」「出雲」「北斗星」用グレードアップ工事、食堂車・ロビーカー改造工事。
- 209系(元南武線)→サイクルトレイン「BOSO BICYCLE BASE」再改造[W 17]。
- 機器更新(VVVF更新)・その他改造各種
- E231系(小山車両センター、国府津車両センター所属車)
- E233系0番台(トイレ設置、グリーン車組込準備改造)
その他、EB装置取付、先頭車改良型下部覆い取り付けなど多岐に渡る。
試運転
- 検査・修繕、改造、復元などの作業において、車体を組み立てた後、センター東側の試運転線にて、走行試験を行う。
- 試運転線は、工16番分岐(車体E棟、南トラバーサー東側) - 鉄道博物館横間まで設定されているが[注 16]、通常の試運転の起点は工27番分岐手前で[注 17]、そこから終点まで往復する[5]。試運転線や試運転中の車両は、高崎線大宮 - 宮原間や川越線大宮 - 日進間の列車内の車窓[注 18]、沿線の公道や踏切、鉄道博物館の屋外のミニ運転パークなどから見ることができる[29]。
その他エピソード
過去に製造した車両
日本鉄道時代から、鉄道省、国鉄、そして民営化以降も、自社内の車両製造を当工場で実施してきた。1994年10月以降は、1999年4月8日のカハフE26-1の新製を除き、新津車両製作所(現・総合車両製作所新津事業所[注 19])で行われている。
下記に、車両製造した実績を示す。
日本鉄道時代
- Obt2/4形蒸気機関車(機関車番号3(2代目)、のちの国鉄5270形蒸気機関車)
- イギリス製テンダー機関車を見本に製造した2B形テンダー機関車、1両製造。
- O3/3形蒸気機関車(機関車番号は401 - 406、のちの国鉄1040形蒸気機関車)
- イギリス製タンク機関車を見本に製造したC形タンク機関車、6両製造。
鉄道院(鉄道省)・国鉄時代
- 10020形電気機関車(のちのED40形電気機関車)
- 信越本線横川 - 軽井沢間(碓氷峠)用のアプト式電気機関車、14両製造。
- この機関車が最初の国産電気機関車であり、当工場の技術躍進の象徴であった。
- 保存機ED4010については、後述の過去に保存・留置された車両#現在鉄道博物館に展示されている車両の項を参照。
- D51形蒸気機関車
- 単式2気筒で過熱式のテンダー機関車、31両製造。
- 新製第1号である保存機D51 187については、後述の保存車両#R.G.P.(レールウェイガーデンプロムナード)の項を参照。
- 340形皇室用客車
- 鋼製の丸屋根で、皇室が行幸する際に奉仕者乗車用の客車で、供奉車と呼ばれる。340号と344号の2両製造。
- 340号車は、尾久車両センター所属で、現在は東京総合車両センター内の御料車庫に保管中。
- 保存車両344号車については後述の保存車両#新幹線高架下の項を参照。
- スハ32系[30]・オハ35系[31]・スハ43系客車[32]
- 鋼製の2軸ボギー客車。1930年代から1960年代にかけて製造された。
- まったくの新製から改造まで多岐に渡り、主に三等車や緩急車を多数製造した。
- 保存車両オハ35 2001については、後述の保存車両#新幹線高架下の項を参照。
民営(JR)化後
- 107系電車
- 急行列車の廃止で余剰となった165系急行形電車の機器を再利用して製造された、片側3扉のロングシート車。0番台4両、100番台14両製造。
- E26系客車
- 寝台特急カシオペアの電源車兼ラウンジカーで、(カハフ26-1)1両のみ製造。札幌方の編成端部、12号車に連結される。国鉄/JRの集中電源方式固定編成客車のうち、電源機器と客用空間の併設を前提に製造された種類としては初の車両。
入換機の変遷
- 民営化直後より、双頭連結器を装備したDD16 20・36(20号機は「北斗星」色[33]、36号機は「夢空間」色)が、入換移動機械扱いで車両入換などに使用されていた[34][35]。なお、DD16 20はその後国鉄色に塗り替えられ[注 20]、台湾高速鐡道に譲渡された[36]。
- その後、DE11 1035[37](2004年10月まで)、DE10 1099[38]、DE11 1031[38](いずれも宇都宮運転所所属)が、当センターの常駐車として双頭連結器を装備して入換作業をしていた。
- 2014年4月から日本除雪機製作所製の軌道モータカーHTM270形(車両番号:OM-1)が[W 19]、さらに同年10月にも同機(車両番号:OM-2)が導入され[W 20][注 21]、DE10形、DE11形はそれぞれ入換運用から外れた。
- DE10 1099は、当センターの入換機運用から外れた後、都内や千葉地区での本線運用に就いたが[注 22][39]、2016年9月15日の車籍抹消(除籍)後東武鉄道に譲渡され[W 21]、2017年8月10日から営業運転を開始したSL「大樹」の後補機や入換車として運用されている[W 22][W 23][W 24]。
- また、DE11 1031・1035は、国鉄時代武蔵野操車場(現・廃止)で基地局からの無線による遠隔操縦(テレコン)に対応していた機関車であった[40]。DE11 1035は2004年10月15日、DE11 1031は2016年11月8日にそれぞれ廃車になっている。
-
DD16 20(北斗星色)
-
DD16 36
-
DE10 1099
-
DE11 1031
-
現在の入換車 「OM-1」
(軌道モータカー HTM270形) -
現在の入換車 「OM-2」
(軌道モータカー HTM270形) -
入換作業中の 「OM-2」
(EH500-68を移動中)
注釈
- ^ 2013年(平成25年)までは「JRおおみや鉄道ふれあいフェア」。
- ^ 2000年(平成12年)までは、10月14日の鉄道の日前後の開催。2001年 - 2019年は5月第4土曜日に開催。
- ^ 宇都宮線下り電車は高崎線との分岐点まで。
- ^ ニューシャトルの大宮行き列車が一番見やすく、東北新幹線からだと高架の真ん中を走るため、見にくくなる。
- ^ 東京起点:30.1 km付近。
- ^ 大宮駅橋上駅舎「エキュート大宮」の真下にあり、新幹線ホームに一番近い方。
- ^ 普段はここに保存車両を留置している。
- ^ その間、用途廃止となった蒸気機関車が大宮工場でも数多く解体された。
- ^ 新小岩は主に貨車を、橋本は主に気動車用エンジン・エアコンなどの部品と自動車(バス・トラック)などを担当した。
- ^ a b 八高線(高崎運転所→現・ぐんま車両センター)、久留里線(幕張電車区木更津支区→現・幕張車両センター木更津派出)、烏山線(宇都宮運転所、2017年まで)
- ^ この年には、鉄道模型シミュレーションゲーム「ガタンゴトン」の製作に協力する。縦約25m×横約8mの世界最大級のジオラマで、制作費約8,000万円で製作した。
- ^ 現在は閉鎖。
- ^ 本来はE653系以降であるが、E653系は当センターでは検査を行っていない。
- ^ 2015年3月14日に担当総合車両センターが長野から当センターへ移管した。
- ^ このように大手私鉄の車両がJRグループの車両工場での改造工事を行うのは異例。2017年以降も随時進行中。2018年5月入場の4065Fで入場は終了した。なお、改造工事の施工はJR東日本ではなく、総合車両製作所が担当した。
- ^ 工16番分岐 - 工27番分岐までは、東通行線という別称がある。
- ^ 蒸気機関車などの加減速に距離が必要な車両は、工19番分岐と工20番分岐の間を起点とする場合もある。
- ^ 高崎線は、湘南新宿ラインからの列車ならほぼ全体を見ることができるが、東京駅・上野駅方面からの列車は、途中で宇都宮線をアンダークロスするため、一部は見えない。川越線は、鉄道博物館手前で地上に出た後で見ることができる。
- ^ 東急車輛製造の鉄道車両事業を、2012年4月2日に買収・子会社化した総合車両製作所(J-TREC)と一本化するため、2014年4月1日に譲渡し発足した事業所。
- ^ これはDD16形本来のボンネット横の白帯省略形ではなく、DE10形やDD51形と同様に白帯がボンネット全体に周っているもの。
- ^ この2両は、いずれも車籍のない機械動車扱い。
- ^ 主に越中島貨物駅からのレール運搬の工臨など。
- ^ 以前は、ED4010と一緒に展示され、センター側を植栽で、道路側を柵で囲み屋根なしだった。
- ^ 青大将塗装。
- ^ 運転台への入室は不可。
- ^ a b 茶色塗装。
- ^ 一般公開日には運転台が開放される。
- ^ この路線が投入路線候補だった。
- ^ 耐寒耐雪試験を実施した。
- ^ この事故を受けて国土交通省が、ブレーキ系統の多重化等の対策を全国の鉄道事業者に指示したため。
- ^ 「さよなら ED16 東京西局」のヘッドマークを取り付けていた。
- ^ 解体前、前面に惜別マークが掲げられていた写真が『鉄道ファン2021年6月号』p.32に掲載された[70]。
- ^ 上部淡緑色(淡緑5号)に下部黄色(黄1号)。
- ^ そのイベントは、分割民営化を前に終了した。
- ^ 所属表記も「横コツ」から「宮オオ」に変更された。
- ^ 「JR東日本 ゆったりらくらく鉄道旅行 素敵な車両を皆様に大宮工場」と側面いっぱいにペイントされていた。
- ^ 茶色塗装・前面ひさし付き。
- ^ 所属表記が「千ケヨ」から「宮オオ」に変更されている。
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