ミニ四駆
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/04 07:41 UTC 版)
ミニ四駆のタイプとシリーズ
オフロードタイプ
不整地路を走行させることができるタイプ。不整地路での走破性を優先するため、シャーシは最低地上高が大きい構造となり、ギア比もトルクが重視されている。ジムニーワイドやパジェロなどはオフロードタイプに含まれない。
- ミニ四駆シリーズ
- 1982年(昭和57年)7月から発売された、ミニ四駆の原点となるシリーズ。現在は次のコミカルミニ四駆シリーズとともに「1/32 ミニ四駆シリーズ」となっている。第1号の「フォード・レンジャー 4×4」をはじめピックアップトラックが多く、スケールモデル風のリアルなデザインである。発売当初実車で流行していた、車体をリフトアップし大径のオフロードタイヤを履いたスタイルを模している。シャーシはモーターが縦置きで、プロペラシャフトから車軸への伝達はウォームギアである。横溝を刻んだゴム製のソリッドタイヤを装備している。
- コミカルミニ四駆シリーズ
- 1984年(昭和59年)2月から発売。前のシリーズに続き発売されたシリーズ。前述のように現在は「1/32 ミニ四駆シリーズ」となっている。タミヤとはミリタリーミニチュアシリーズ等で縁のあった大塚康生のアドバイス(一部モデルではデザインも手がける)による、第1号の「ホンダ シティ ターボ」をはじめ、デフォルメされたコミカルなデザインが特徴である。前シリーズと基本的なドライブトレインは同じだが、コミカルなデザインのために配置を変更してホイールベースが寸詰まりになっている。ウォームギアの前後にスプリングを内蔵してモーターロック対策を施すなどの改良が加えられた。フック付きのバーを前または後ろのバンパーに装着することができる。このシリーズの「ワイルドウイリスJr.」(ウィリス M38)が人気を博したことにより、同社のRCカーをスケールダウンしたレーサーミニ四駆シリーズへと繋がった。ゴム製のソリッドタイヤはオフロードタイヤを模したトレッドパターンが刻まれている。
- ワイルドミニ四駆シリーズ
- 1987年(昭和62年)5月から発売。レーサーミニ四駆に引き続き、当時新しく人気となっていたモンスタートラック(英語版「ビッグフット」)タイプのRCカーのJr.として、シンプルで丈夫な設計のシャーシのシリーズ。スピードは室内やオフロード走行に適したものとなっている。ラインナップはRCカーをスケールダウンしたものが中心だが、漫画『ダッシュ!四駆郎』の登場車種など、ミニ四駆オリジナルのものもある。駆動方式は、モーターが車体の中央にあり、対称的な配置のギヤで前後に分配するギアトレーン式である。大きなタイヤは他のシリーズと異なり中空で、電源スイッチ部が組立て済み完成品となっている。これより前のモデルでは、接点が少しでも変形するとスイッチが機能しなくなったが、その動作不良を根絶した。円錐状のホイールキャップを付け、ひっかかりのある専用コースで360度ループができる、など、当時のタミヤが「ミニ四駆の遊び方」の提案に試行錯誤していたことが伺える。かつてはハイスピードギアやレーシングローラーハブセット等のグレードアップパーツも発売されていたが、現在はすべて生産中止になっている。
オンロードタイプ
専用コースを走行させ、スピードを競うタイプ。世間一般では、ミニ四駆といえばこのオンロードタイプという解釈がされている。シャーシは重心が低く、ギア比も高いため高速かつ安定した走行が可能となっている。
尚、シリーズはボディデザインにより分類されているため、同じシリーズ内でも使用シャーシや使用可能パーツがバラバラで分かりにくいという問題がある。他方で、様々なデザイン系統を最新シャーシで同時展開できるという利点がある。
- レーサーミニ四駆シリーズ
- シャーシ - タイプ1/タイプ3、タイプ2/タイプ4、タイプ5、ゼロ、FM、VS、スーパーTZ-X、スーパーXX、スーパーII、AR、VZ
- 1986年5月から発売。オンロードタイプのミニ四駆の先駆けとなったシリーズ。車種ラインナップは主にRCバギーのスケールダウンモデルが中心で、初期の車種は地上高が高く、スパイクタイヤを搭載したオフロード仕様の車種が主流だった。これらタミヤ製のRCカー名に「Jr.(ジュニア)」をつけたミニ四駆モデルは、ラジコンに憧れた子供たちの人気を博し、第一次ミニ四駆ブームの牽引役を担った。漫画『ラジコンボーイ』の登場車種であるドラゴン兄弟も登場し、これらがミニ四駆シリーズ初期の牽引役となる。中期より『ダッシュ!四駆郎』によるミニ四駆のみの登場車種ダッシュシリーズなども数多く設定され、中期以降はこれらミニ四駆漫画のオリジナルによる車種が人気を引っ張った。
- 2000年をもってそれまでに発売された全車種が生産停止となったが、2003年より一部車種のシャーシを新型のものへ変更して発売。また、2005年以降はメモリアルボックスなどでの再発売が相次ぎ、一部車種は現在でも入手が容易となっている。また後年にアバンテやサンダーショットなど一部車種はリメイクされてミニ四駆PRO/REVの車種として、またドラゴン兄弟やダッシュシリーズ等の各マシンも後年開発された新型シャーシを採用し、「プレミアム」の名を冠した現行商品としてリバイバルされた。
- トラッキンミニ四駆シリーズ
- シャーシ - トラッキン、AR
- 1990年12月から発売。オンロードタイプのミニ四駆としては珍しく、ピックアップトラックを模したボディデザインが採用されている。
- ボディの取り付けは他のオンロード系ミニ四駆とは異なり、ワイルドミニ四駆と同じ方式を採用している。このため、ワイルドミニ四駆のボディと互換性がある。
- 2車種のみを発売して生産が早々に打ち切られ、生産期間の短さや生産台数の少なさによる希少性ゆえにプレミアがついている。2010年7月にホイールを別部品に変更した上で再発売され、2013年にはREVシリーズで採用されたARシャーシに搭載して限定販売された。
- 2021年12月現在ARシャーシ版が再販されている。
- スーパーミニ四駆シリーズ
- シャーシ - スーパー1/スーパーII、スーパーFM、スーパーTZ/スーパーTZ-X、VS
- 1993年6月から発売。レーサーミニ四駆の後継シリーズ。シャーシは初期状態で既にダウンスラストのついたバンパーや軽量な大径ホイールなどが標準装備された競技仕様の設計となっており、高速化が進むレースシーンで主力シャーシとなった。登場翌年以降に開催されたジャパンカップ優勝者のマシンの多くがスーパーミニ四駆で[4]、94年、95年、96年、98年の優勝マシンがスーパーミニ四駆だった[注釈 2]。
- 車種ラインナップは漫画『風のレーサー侠』や『ダッシュボーイ天』の登場車種。
- 世間一般での人気そのものはほぼ同じ時期に発売されていたフルカウルミニ四駆には及ばなかったものの、スピードの伸びやすい大径タイヤと軽量で無駄のないボディが完全標準化されているため、競技志向のレーサーは大径タイヤと軽いボディを求めてこちらを購入することが多かった。
- ほとんどの車種が生産終了されたが、2007年12月にポセイドンXブラックスペシャルが再発売され、同時に「スーパーミニ四駆メモリアルボックス」として初期の車種も発売された。また、2009年2月にはアストロブーメランが、2010年12月にはリバティーエンペラー、トムゴディ スペシャル、小覇龍 (シャオバイロン)、ビックバンゴースト、リバティエンペラー ブラックスペシャルがそれぞれ再発売された。またリバティーエンペラーについては、プレミアム仕様として改めて発売されることが発表、[5] さらにビックバンゴーストについても、2016年にプレミアム仕様として再発売された。2017年9月末にはリバティーエンペラー プレミアム ブラックスペシャルが発売された。
- フルカウルミニ四駆シリーズ
- シャーシ - スーパー1/スーパーII、スーパーFM、スーパーTZ/スーパーTZ-X、VS、AR、FM-A
- 1994年9月から発売。スーパーミニ四駆からの派生シリーズ。シャーシはスーパーミニ四駆のものと共通だが、ボディデザインはタイヤを覆う形状となっており、エアロダイナミクスを追求したものとなっている。だがその裏返しで「ほぼ全車が小径タイヤ採用」「ボディが重い」特性を持ち、スピードという点でスーパーミニ四駆に見劣りする。
- 車種ラインナップは漫画・アニメ『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』シリーズおよび『爆走兄弟レッツ&ゴー!! Return Racers!』の登場車種で、第二次ブームの牽引役となった。
- 代表車種には『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』の主役機であるマグナム/ソニックシリーズ各種が挙げられることが多い。特に3代目のサイクロンマグナム/ハリケーンソニックは発売当初から生産が追いつかない状況が続くほどの大ヒット車種となった。この2車種が発売されたのはちょうど第二次ブームのピークにあたる時期で、これら以外の脇役にあたる車種もよく品薄になっていた。ブーム収縮期にも根強く大半の車種の生産が続けられ、レーサーミニ四駆に匹敵するほどの長寿シリーズとなっている。現在でも現行商品として販売されているシリーズではあるが、「プレミアム」の名を冠した商品は、ボディに張り付けるシールがメタリック調になったり、シャーシ部分に改造パーツ用の取り付け穴を新たに設けたスーパーIIシャーシ(元来スーパー1採用の車種)/ARシャーシ(スーパーTZ採用車種)となったり、など、現在の新製品の仕様・改造方法にあわせた改良が行われている。
- このシリーズからは、ミニ四駆歴代マシン売り上げベスト5のうち4種のキットを輩出している(ビクトリーマグナム、ネオトライダガーZMC、サイクロンマグナム、ビークスパイダーの順で2位 - 5位。なお1位はレーサーミニ四駆のアバンテJr.となる)[6]。
- エアロミニ四駆シリーズ
- シャーシ - スーパーX/スーパーXX、VS、スーパーTZ-X
- 1997年12月から発売。フルカウルミニ四駆の後継シリーズ。ボディは従来のフルカウルミニ四駆と同様にエアロダイナミクス重視のデザインとなっている。シャーシは一新され、走行性や剛性、整備性が従来のシャーシと比較して向上した。また、従来グレードアップパーツとして別売されていた超速ギアが一部車種を除き標準装備された。
- 車種ラインナップは漫画、アニメ『爆走兄弟レッツ&ゴー!!MAX』の登場車種。
- 2020年をもって、それまでに発売された一部の車種が生産停止になっている。
- マイティミニ四駆シリーズ
- シャーシ - スーパーX/スーパーXX、VS
- 1998年5月から発売。スーパーミニ四駆の後継シリーズ。シャーシはエアロミニ四駆と共通だが、一部を除いて小径タイヤを標準装備するエアロミニ四駆に対してこちらは全車大径タイヤを標準装備し、ボディもシンプルで軽く、スピードを重視した仕様になっている。
- 車種ラインナップは漫画『新世紀レーサーミニ四キッズ』や『未来レーサーブイツイン』の登場車種。
- スーパーミニ四駆とフルカウルミニ四駆の関係と同じように、こちらも世間一般ではエアロミニ四駆ほどの人気はないが、大径タイヤとシンプルなボディで競技車両ベースとして非常に重宝された。
- 2009年3月現在、全車種とも生産が休止されている。2010年にダイナホークGXとレイザーギルがスーパーXXシャーシに搭載された「スーパーXXスペシャル」として、2013年にはダイナホークGXが「ブラックスペシャル」として限定再発売された。
- 2018年にバリアトロンとシンクロマスターZ9が、2019年にはダイナホークGXとレイザーギルのスーパーXXスペシャルが再発売された。
- 干支ミニ四駆シリーズ
- シャーシ - タイプ1、タイプ2、スーパーTZ-X
- 1998年12月以降、その年の干支をテーマにした限定仕様のミニ四駆を毎年リリース。ドライバー人形の装備されている車種は、人形のデザインが干支をモチーフにしたものに変更されている。ベース車種はレーサーミニ四駆がメインだが、2001年は例外的にエアロミニ四駆のバニシングゲイザーがベース車種に起用された。
- 現在は販売終了している。
- ミニ四駆PROシリーズ
- シャーシ - MS、MA
- 2005年11月から発売。「ミニ四駆を超えるミニ四駆」をテーマに開発されたシリーズ。従来のミニ四駆がシャフトドライブ方式の4WDシステムを採用しているのに対し、このシリーズではダブルシャフトタイプのモーターをミッドシップレイアウトで配置し、ダイレクトドライブ方式とすることでフリクションロスを軽減するとともに、電池とあわせてシャーシ中央部の低い位置に設置することで低重心化を実現した。自身の改造により、サスペンションをつけられる方法が存在し、マニアたちの中ではつけるのがほぼ当たり前となりつつある。
- シリーズ開始に合わせ登場した「MSシャーシ」は、シャーシの構造が3分割となっており、カスタマイズ性や整備性は従来のシャーシと比較して大幅に向上している上、接続部分をボックス構造とすることで従来のシャーシを上回る高い剛性を確保している。また、歴代ミニ四駆で初めての試みとして手軽に楽しめる完成車を追加するほか、ラジコンカーにも使用されている軽量で高強度のポリカーボネート製ボディを一部車種に設定。レーサーミニ四駆の時代からポリカーボネート製ボディそのものはグレードアップパーツとして存在したが、キットで標準化されるのはミニ四駆PROが初めてとなる。
- 設定されるのは完全な新規車種だけではなく、「サンダーショットMk.II」や「トライダガーXX」などのようにレーサーミニ四駆やフルカウルミニ四駆のリバイバルも存在する。そのため、『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』(コンビニコミックの書き下ろし作品のみ)の登場車種であってもダブルシャフトモーターのものはこのシリーズに属する。2013年には、2つ目のシャーシとなる「MAシャーシ」が登場し、下記のミニ四駆REVシリーズのARシャーシのモノコック構造と、MSシャーシのミッドシップレイアウトの長所を合わせたような、一体成型構造で登場した。なお2015年からは、『ハイパーダッシュ!四駆郎』の登場車種がこのシリーズにて製品化されている。
- ミニ四駆REVシリーズ
- シャーシ - AR、FM-A
- 2012年7月14日から発売。ミニ四駆30周年記念として発表された最新シリーズ。シャーシはメンテナンス性、剛性および拡張性を向上させた「ARシャーシ」を採用。また、シャーシに搭載されるボディも、ARシャーシに合わせて徹底的に空力を追及したデザインとなっている。2017年には、スーパーFM以来の新フロントモーターシャーシ、「FM-Aシャーシ」が登場した
レーザーミニ四駆シリーズ
- シャーシ−VZ
- 2021年8月28日から発売。
- 実車のミニ四駆化の動き
- 2014年以降、それまでの長いオンロード型ミニ四駆(ラジ四駆除く)の歴史の中で行われてこなかった実車のキット化が散発的に行われており、2020年11月現在ではダイハツ、日産、ヒュンダイ、トヨタ、ホンダ(キット化順)の5社合計8車種9形状が発売、または公式発売予告されている。
- 2014年:ダイハツ・KOPEN FUTURE INCLUED(レーサー)・・・レーシングタイプの定番車としては初の実車で、RMZ(VSシャーシ)・XMZ(スーパーⅡシャーシ)の2種類をラインナップ。
- 2014年:日産・Be-1(レーサー、タイプ3シャーシ。)※限定車。イエローが販売された後にブルー、レッドも発売。
- 2017年:ヒュンダイ・アヴァンテスポーツ(前期型)(PRO、MAシャーシ)※韓国限定モデルでパッケージ、取説も全てハングル表記
- 2018年:トヨタ ガズーレーシング TS050 HYBRID(PRO、MAシャーシ)
- 2019年4月:トヨタ ガズー レーシング WRT/ヤリス WRC(PRO、MAシャーシ)
- 2019年12月:ヒュンダイ・i20クーペWRC 2017年仕様 (PRO、MAシャーシ)※特別企画商品
- 2020年1月:トヨタ・GRスープラ (PRO、MAシャーシ)
- 2020年8月:トヨタ・GRヤリス (レーサー、VZシャーシ)
- 2020年11月:Honda e (レーサー、VZシャーシ)
ディスプレイタイプ
スケールモデル同様、飾って楽しむタイプ。他のミニ四駆と異なり、シャーシには走行するための機構が装備されていない。
- リアルミニ四駆シリーズ
- 1996年7月から発売。メッキパーツでリアリティを高め、スケールモデルとして楽しむシリーズ。ボディは無加工あるいは若干の加工で、トラッキンミニ四駆以外のオンロードタイプのミニ四駆のシャーシへ換装することが可能だがシャーシによっては加工を要し、第一弾のスピンコブラに至っては当時の主流であったスーパー1/スーパーFMのどちらに乗せるにも加工が必要だった。車種ラインナップは漫画、アニメ『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』の登場車種。原則全車種生産・販売は終了している上にストーリー上重要な車種ばかりのため劇中シーンの再現、例えば「TRFビクトリーズ」のマシンラインナップを揃えるといったことが定番商品のみでは不可能という事態に陥っていた。(下記再生産により解消の兆しはある。)
- 再生産については、以下の車種で行われた。(車種は原作登場順)
- プロトセイバーエボリューション:2016年7月(フルカウルミニ四駆・プレミアムシリーズ扱い、ARシャーシ)
- スピンコブラ:2017年5月(フルカウル・プレミアム扱い、スーパー2シャーシ)
- バックブレーダー:2009年2月21日、2020年2月8日(限定発売)
- バックブレーダークリアボディ:2015年2月(グレードアップパーツ、絶版)
- スピンバイパー:2002年12月、フルカウル扱い・VSシャーシ(絶版)
- スピンバイパー パールブルースペシャル:2017年7月、フルカウル扱い・VSシャーシ(限定発売)
- バイスイントルーダー:2020年3月14日(限定発売)
- ディオマース・ネロ:2002年12月、フルカウル扱い・VSシャーシ(絶版)
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