ミズキ ミズキの概要

ミズキ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/23 06:58 UTC 版)

ミズキ
ミズキ(川崎市緑ヶ丘霊園・2007年5月)
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク類 Asterids
: ミズキ目 Cornales
: ミズキ科 Cornaceae
: ミズキ属 Cornus
: ミズキ C. controversa
学名
Cornus controversa Hemsl. var. controversa (1909)[1]
シノニム
和名
ミズキ(水木)、
ハシノキ[1]
英名
giant dogwood

名称

和名「ミズキ」は漢字で「水木」と書き、早春に地中から多くの水を吸い上げて、枝を切ると大量の水のような樹液が流れ出ることに由来し[5][6][4]、「水の木」から転訛したとされる[7]。別名ではクルマミズキ[6][4]、ハシノキ[1]ともよばれる。クルマミズキの別名は、枝が輪性状に分枝することによる[6]中国名は「燈臺樹」[1]

分布と生育環境

日本では、北海道本州四国九州に分布し、日本国外では、朝鮮半島台湾中国からヒマラヤのアジア南部、南千島にまで分布する[5][4]。山地や丘陵地に生え[6][8]、日当たりのよい低山など各地で広く生育する[4][7]

特徴

落葉広葉樹高木[4]、樹高は10 - 20メートル (m) [6]、幹径は60 - 100センチメートル (cm) ほどになる[9][8]。生長は極めて早く、樹齢が古いものはあまり見られない[9]。主幹はまっすぐに伸びて、を水平に張り出して斜上し、枝先は上を向いて扇状に四方に広げる[4][8]。これを繰り返して枝は階段状になり、独特の樹形となって[4]、全体として整っている[9]樹皮は灰色から汚灰色、縦筋が入る[6][8]。ごく若い樹皮は暗赤褐色で、皮目が目立つ[8]。一年枝は赤色から紅紫色で、はじめ細かい毛をもつが、のちに無毛になる[8]。春先は樹液の吸い上げが甚だしく、樹皮を傷つけると多量の水があふれ出すのが特徴的である[10]。樹皮の上に樹液の赤い筋ができることがあり、樹液に糖分を含んでおり、空気中の天然酵母が樹液中で繁殖して、違うカビ類が飛び込んでくるために赤くなる[11]

は枝先に集まって互生し、葉柄は長さ2 - 5 cm、葉身は長さ6 - 15 cmの広卵形から広楕円形で葉縁は全縁、先はとがる[5][6]。葉の形はサクラと似ている[12]。裏面はやや白色を帯びていて短い毛があり[10]弓形に曲がった5 - 9対の葉脈が隆起する。春の芽吹きは透明感のある緑色で、葉脈がよく目立つ[8]。秋になると葉が赤色に紅葉する[10]。ミズキの紅葉は、黄色から山吹色が基本で、しばしば部分的に赤色を帯び、赤紫色など、渋い色にも派手にも多様に変化し、このような紅葉する木は珍しいと評されている[13][14]。よく似たクマミズキの葉は対生し、紅葉はミズキと似ている[13]

花期は晩春から初夏(5 - 6月)[4]。新枝の先に散房花序を出して、直径7 - 8ミリメートル (mm) の白色の4弁花を多数咲かせ、よく目立つ[6][4][7]

果期は秋(10 - 11月)で[4]果実核果、直径7 - 8 mmの球形ではじめ赤色で、のちに黒紫色に熟す[6]。果実は野鳥、特にヒヨドリが集まって好んで食べる[10]

冬芽は長さ7 - 12 mmの長卵形で先がやや丸く、芽鱗5 - 8枚に包まれる[8]。枝先につく頂芽は濃紅色で、側芽はごく小さい[8]。葉痕は上向きで小さく、維管束痕が3個ある[8]

利用

庭木や公園樹としてよく利用される[5]

材としては白色で軟らかく緻密で、建築材や器具材のほか[5]、薪炭材として利用される[7]。材はこけし材としても有名で[6]、木肌が美して割れにくいことから東北地方ではこけしがよく作られる[4]。正月の祝箸を俗に柳箸というが、使われる材はヤナギではなく、本来はミズキの材で作られるもので、江戸時代中期から使われてきた[15]。江戸に供給された箸材は奥多摩産のミズキで、植林も行われていたといわれる[15]


注釈

  1. ^ イナウの材料は通常ヤナギが使われるが、最高の材料はキハダで天上界では金に相当し、ミズキは銀、ハンノキは銅だといわれる[16]

出典



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