トランスリンク (バンクーバー) トランスリンク (バンクーバー)の概要

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トランスリンク (バンクーバー)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/27 16:08 UTC 版)

South Coast British Columbia Transportation Authority

本社ビル
組織の概要
設立年月日1998年1月1日
継承前組織
  • Greater Vancouver Transportation Authority (1988–1998)
管轄メトロバンクーバー
本部所在地ブリティッシュコロンビア州ニューウエストミンスター
人員6,100[1]
年間予算$14億カナダドル(2012年[2]
行政官
  • ジジ・チェン-クーオー[3]CEO (臨時))
ウェブサイトwww.translink.ca

概要

2001年のストライキ

ブリティッシュコロンビア州政府およびメトロバンクーバーのもと、交通を主体とした計画立案と予算管理を行う。圏内の社会資本の拡充と公共交通機関の統括や交通行政における環境保護を担当し、交通の円滑化と自動車交通量の抑制を目指す一元的な組織である[5]。各事業の運営は下位に位置づけられた団体および組織に委ねられているため、それ自体の規模は小さい。しかしながらバンクーバー広域行政体の首長が役員を務め、財源についても圏内の関連税制の変更を行うことが可能であるなど、その権限は強い。そのため、中長期に渡り地域に対して効率的な社会資本の整備を行うことを可能としている。一方でストライキロックアウトといった労使紛争が比較的多い文化の中では、一元的であるために地域社会に大きな影響を及ぼしてしまうことも否定できない[6]。2001年4月1日から7月31日の4ヶ月間は、路線バスの運行委託先であるコーストマウンテンバスの全面ストライキによって多くのバス路線が運休となり、代替路線の混雑や道路の渋滞などにより地域全体の交通網が麻痺した例がある。

歴史

ブリティッシュコロンビア州全土の公共交通を統括していたBCトランジットから、バンクーバー都市圏のみを管轄する組織として1998年に独立し発足した。バンクーバーの公共交通に関する歴史は以下の通りである。

主な事業と運営組織

バンクーバー市内で運行されているトロリーバス
サレー市内を走行するBRT連節バス
ニューウエストミンスター市内を通過するスカイトレイン
コキットラムに到着するウエストコーストエクスプレス
バラード入り江を横断するシーバス
メイプルリッジラングリーを結ぶゴールデンイアーズ橋

路線バス事業

トランスリンクの最も主要な事業のひとつ。マイカーの使えない学生や駐車場が限られたダウンタウンへの交通手段として、バスは非常に重要な交通機関である。また原油価格や駐車場代の高騰に伴いマイカーからバスへ通勤手段を変える人も少なくないため、トランスリンクでは需要がさらに高まることを予想している。バスの運行はコーストマウンテンバス、ウエストバンクーバー市営交通およびファーストトランジットが担当しているが、前身のBCトランジット時代からウエストバンクーバー市営交通は別の組織として独立していた。そのため、前者はトランスリンクの下部組織である一方で、後者は委託契約を結んだ外部組織という位置づけになっている。それぞれの営業区域や規模は異なり、コーストマウンテンバスがバンクーバー都市圏のほとんどを網羅する広大な営業範囲を維持するのに対し、ウエストバンクーバー市営交通やファーストトランジットは小規模な組織であり運行車両が若干異なっている。

鉄道事業

北米は日本やヨーロッパと比較して都市の規模に対して鉄道網が発達しておらず、東海岸からのカナダナショナル鉄道、カナダ太平洋鉄道VIA鉄道、そしてアメリカからのアムトラックといった数多くの長距離鉄道が終着点とするバンクーバー都市圏ですら都市鉄道網は存在しないに等しかった。しかしながら1986年バンクーバー国際交通博覧会の開催をきっかけにスカイトレインと呼ばれる新交通システムの運行を開始した。同年のカナダ連邦政府による雇用均等法や1988年のカナダ多文化主義法の制定は、バンクーバー都市圏の移民を大幅に増やして地域経済を繁栄させているが、それにともなう通勤圏の拡大や交通渋滞の悪化は万博以降における鉄道事業の拡大をさらに後押しした。 今後もスカイトレインの延伸を中核に、ウエストコーストエクスプレスが運行する近郊都市を結ぶ通勤列車、ウエストコーストエクスプレスの設備拡充など、鉄道事業をさらに発展させて交通手段を分散させていくことを予定している。また、サレー市LRTを開通させる計画もある。

フェリー事業

海や川の多いバンクーバー都市圏では、バスや鉄道に次いで短距離フェリーの利用も公共交通としても一般的である。橋梁が未整備の箇所や陸上交通より移動時間が短縮できる箇所も存在するため、トランスリンクは陸上の公共交通機関を補完する目的でフェリーを運航している。1900年より運航を開始したバラード入り江連絡フェリーはシーバスとして、現在はコーストマウンテンバスが運航している。また、1957年に開設されたフレーザー川の両岸、ラングリーメイプルリッジを結んでいたアルビオンフェリーは20台前後の自動車と旅客を積載できる2隻の小型のカーフェリーで運航していたが、2009年6月にゴールデンイアーズ橋が開通したことに伴い、その役目を終えた。

幹線道路網整備事業

他の北米の諸都市と同様に、マイカー通勤が一般的な圏内では幹線道路網の整備はメジャーロードネットワーク(略称MRN)としてトランスリンクの中核事業となっている。全域の一般道路の延伸や拡張といった整備計画の立案と建設を、21の下部組織や地域自治体と協力して行っている。圏内は多くの河川が流れているため、橋梁およびバイパス建設といった高速道路以外の大規模工事を伴うものもこの道路整備計画に含んでいる。

環境対策事業

交通がもたらす環境破壊の抑制に取り組み、地域住民の健康と大気汚染を考慮している。自転車の利用を積極的に促すためにバスに自転車を置けるキャリアを設置、近年ではパークアンドライドシステムの運営によるマイカーの通勤利用削減、路線バスでのハイブリッドカーおよび低排気ガス車などの低公害車の採用、新交通システムの利用促進など、次世代の公共交通を整備している。一方で環境障害者の利用環境の改善も行っており、路線バスの低床化や車椅子用リフトの設置をはじめ「ハンディダート」と呼ばれる障害者用車両の運営も行う。


  1. ^ http://www.translink.ca/~/media/documents/about_translink/corporate_overview/annual_reports/2008.ashx
  2. ^ Translink (2013年). “TransLink 2012 Annual Report” (英語). Translink. 2013年8月3日閲覧。
  3. ^ Translink (2021年). “TransLink names interim CEO”. Translink. 2021年2月17日閲覧。
  4. ^ South Coast British Columbia Transportation Authority Act” (英語). ブリティッシュ コロンビア州政府. 2021年1月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月25日閲覧。
  5. ^ Bridge Projects” (英語). translink. 2022年11月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月25日閲覧。
  6. ^ Pawson, Chad. “Metro Vancouver's last transit strike lasted a record-breaking 123 days” (英語). CBC. 2022年6月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月25日閲覧。
  7. ^ Coling, Adrienne (2015年3月13日). “Trolley buses: a historical transit lesson” (英語). The Buzzer blog. 2022年11月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月25日閲覧。
  8. ^ The Buzzer” (英語). Translink (1985年12月6日). 2022年11月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月25日閲覧。


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