カラスミ からすみを使う料理

カラスミ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/14 14:20 UTC 版)

からすみを使う料理

日本以外でのからすみ

台湾ではボラのからすみを「烏魚子」(北京語:ウーユーズー、台湾語:オーヒージー)という。台湾での食べ方は表面の薄い膜を剥ぎ取ってから、酒を表面に軽く塗り、弱火で裏表を一、二分ずつ繰り返しあぶり、表面が白くぶつぶつになるまでかりかりに焼き上げる。出来上がったら、薄くスライスして食べる。大根または葉ニンニクと一緒に爪楊枝で刺して食べられることが多い。夜市屋台でも焼いたからすみを売っている。

また、油魚(アブラソコムツバラムツの総称)を使った「油魚子」(北京語:ヨウユーズー、廈門語:イウヒージー)と呼ばれる食品が屏東県東港鎮で考案され、クロマグロサクラエビと合わせて「東港三宝」と称する特産品として販売されている。ボラのからすみよりも大きいため、塩漬けも乾燥も時間が余計にかかり、技巧を要する。乾燥は季節や大きさにより異なるが、2週間からひと月を要する。ボラは網で捕るため、時にストレスで魚卵に血が入り、色が黒く、臭みのあるものができるが、アブラソコムツは延縄漁で釣るため、血が入ることは少ないという違いがある[8]。大きいことや製作に手間がかかることから、産地でも一腹数千円とボラのものよりも数倍高価である。

イタリア語ではボッタルガ (Bottarga) という(英語ではボターゴ Botargo)。ボッタルガには必ずしもボラの卵巣だけを使用するのではなく、タラマグロなど他の海産魚の卵巣を利用する製品もある。ほぐして、パスタにあえて食べる例が多い。東地中海沿岸ではメゼの一品として親しまれており、薄く切ってオリーブ油レモン汁をかけ、パンと共に食べる。

韓国語では魚卵(オラン、어란)という。塩漬けをする日本に対し韓国では醤油を希釈した出汁で漬けており、毎日3 - 4回ゴマ油を塗り付けて干す点が日本のからすみとの違いである。また日本ではボラの卵巣のみを漬けるのに対し、韓国ではボラだけでなくニベの卵巣も漬ける事も日本との違いである。

脚注


  1. ^ 小林 1996, p. 276.
  2. ^ 日本おさかな雑学研究会 『頭がよくなる おさかな雑学大事典』 幻冬舎〈幻冬舎文庫〉、2002年、36-37頁、ISBN 4-344-40294-4
  3. ^ 伊藤克磨; 松嶋はるか; 野崎征宣; 大迫一史; 松林法寛「長崎産ボラ卵巣およびからすみの成分評価」『日本水産学会誌』第72巻、第1号、70-75頁、2006年1月15日。doi:10.2331/suisan.72.70hdl:10069/21601CRID 1390282681390893312国立国会図書館書誌ID:7811332https://doi.org/10.2331/suisan.72.702022年10月14日閲覧 
  4. ^ 邱思魁、鴻巣章二「からすみ製造中のエキス成分の変化 / (英題)Changes in extractive components during processing of dried mullet roe.」『日本水産学会誌』第54巻第2号、日本水産学会、1988年、307-313頁、doi:10.2331/suisan.54.307ISSN 0021-5392NAID 130001544379 
  5. ^ 邱思魁, 松居隆, 鴻巣章二「ボラおよびスケトウダラ卵巣のプロテアーゼ活性とその加工中の変化 / (英題)Proteolytic Activities of Mullet and Alaska Pollack Roes and Their Changes during Processing」『日本水産学会誌』第55巻第5号、日本水産学会、1989年、805-809頁、doi:10.2331/suisan.55.805ISSN 0021-5392 
  6. ^ 長崎県 文化振興課. “文化百選 事始め編 あじわう 31 からすみ”. 2008年1月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年3月19日閲覧。
  7. ^ 小林 1996, p. 217.
  8. ^ 東港三寶之油魚子”. 東港鎮文史學會. 2012年3月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年5月2日閲覧。


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