磁州窯とは? わかりやすく解説

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じしゅう‐よう〔ジシウエウ〕【磁州窯】

読み方:じしゅうよう

中国河北省磁県中心とする陶窯また、そこで作られ陶器およびその作風をいう。起源宋代で、掻き落とし法白地に黒の文様表したものをはじめ、種類が多い。


磁州窯

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/13 05:43 UTC 版)

磁州窯の瓶(フリーア美術館蔵)

磁州窯(じじゅうがま)は、中国河北省磁州(現在の磁県)を中心に、華北一帯に広がった窯業地とその製品の総称。起源は代と言われ、焼き物全般の名称である「磁器」の語源ともされる。

『原色陶器大辞典』の「磁器」の項には、「漢字の磁器の語は瓷器の俗字で、明時代の随筆『五雑爼』には『今俗語に窯器を謂ひて磁器となすは蓋し河南磁州窯最も多く産するによりて相沿ひて之を名く』とある」と書かれている[1]

最盛期はから時代(10~12世紀頃)で、鉄分を含んだ灰色の素地に素地に白い土を掛け、その上に透明釉を掛けるいわゆる白化粧の陶磁器が特徴。さらに装飾技法として代表的なのが、白化粧した素地に黒泥を掛けた後、黒泥のみを掻き落として模様を描く「白黒掻落とし」である。

脚注

出典

  1. ^ 磁石と磁器

磁州窯

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/29 14:05 UTC 版)

中国の陶磁器」の記事における「磁州窯」の解説

9世紀頃から、華北一帯民窯では「磁州窯」と総称される独特の加飾陶器製作されていた。特に北宋から金代製品名高い。磁州窯系の陶器は、陶質の胎土白化粧施し透明釉掛けたものを基本とする。器種は瓶が多く、磁州窯特有のものとしては陶製がある。文様各種あるが、牡丹唐草文が多い。定窯などの白磁は白い胎土透明釉掛けて火度焼き上げたのであるが、磁州窯系の陶器は、鉄分の多い灰色がかった胎土白化粧をした上に透明釉掛けた代用白磁であった。この種のやきもの9世紀頃から作られていたが、北宋時代に入ると、灰色胎土逆に生かし白化粧土の一部削り取って文様表した「掻落」(かきおとし)という技法が行われるようになった。この技法はさらに進化して白地黒掻落」という技法生まれた。これは、白化粧の上にさらに黒土掛け、その黒土部分的に削り取って白地露出し白と黒コントラスト文様を表すものである。その他、線刻象嵌鉄絵緑釉掻落、三彩など、さまざまな加飾技法が行われた。線刻は、原理的には掻落と同様の技法で、白化粧土を線彫りして、下の胎土現すことによって文様を表すもの。象嵌は、胎土線刻文様表し、その上から白化粧土を全面掛け文様のある部分のみ白土掻き取るという手の込んだ技法よるものである。すなわち、表面掻き取った後、線刻された凹部残った白土文様形成するもので、この種の作例はあまり多くない鉄絵白化粧の上鉄絵具で直接文様描き透明釉掛けて焼成するもので、外観白地黒掻落と似るが、より簡便化され技法である。緑釉掻落は、掻落の器にさらに緑釉掛けたのである白地掻落の器の全面緑釉掛けたもの、白地黒掻落の器の白地部分のみに緑釉掛けて、黒と緑のコントラスト表したものなどがあり、掻落でなく、白地鉄絵の器に緑釉掛けるものもある。以上のほか、白化粧土を掛けたのみで、それ以外加飾行わない、「白無地」の器も多数存在する金時代に入ると、白地黒掻落に似るが、黒土ではなく黒釉を掛けてこれを掻き落とし黒漆掻落や、黒釉の上白土で線を描いた黒釉堆線文などの技法用いられている。ただし、これらは白化粧土を用いない点から、「磁州窯系」の範疇ではないとする立場もある。狭義の磁州窯とは、河北省磁県所在の窯のことだが、上述のような各種技法用いた陶器は、華北の非常に広い地域の窯で製作されていた。磁州窯系の窯は山東江蘇安徽河北河南山西各省またがって散在している。磁州窯の名のもとになった磁県河北省にあるが、磁州窯系の窯がもっと集中しているのは河南省である。磁州窯系の窯は元、明、清、そして現代まで焼造を続けている。 金時代には、磁州窯で中国陶磁史上初め上絵付けによる五彩色絵)が作られた。上絵付けとは、透明釉掛けて火度焼いたやきものの釉上に顔料図柄描き再度火度焼き付ける技法で、顔料は器面に焼き付けられているため、剥落しない。明代発展する五彩基本的には同じ技法であるが、この時代五彩日本では宋赤絵」という)は小型の碗や壺などの小品が主で、図柄民窯ならではの素朴なものであった顔料は、緑と褐色従来三彩の釉を応用し赤色だけは新たに鉛ガラス調合して作った

※この「磁州窯」の解説は、「中国の陶磁器」の解説の一部です。
「磁州窯」を含む「中国の陶磁器」の記事については、「中国の陶磁器」の概要を参照ください。

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