ものを

デジタル大辞泉

ものを

［接助］《「ものを」から》活用語の連体形に付く。

１ 愚痴・恨み・不平・不満・反駁(はんばく)などの気持ちを込めて、逆接の確定条件を表す。…のに。…けれども。「これほど頼んでいる—、なぜ引き受けてやれないんだ」

「ま幸(さき)くと言ひてし—白雲に立ちたなびくと聞けば悲しも」〈万・三九五八〉

２ 理由・原因を強調する意を表す。…からして。…だから。

「湯水をつかふのだ—、かかるが悪くは遠くへどいてるがいい」〈滑・浮世風呂・二〉

[補説] 2は近世以降、「を」を省略した「もの」という形でも用いられる。

［終助］《形式名詞「もの」＋間投助詞「を」から》

１ 自分の意のままにならないことを不服に思う気持ちを表す。…のになあ。…のだがなあ。「そんなに無理しなくてもよかった—」

「忍びがたく思ひ給へらるる形見なれば、脱ぎ棄(す)てはべらむことも、いとものうくはべる—」〈源・藤袴〉

２ 詠嘆・感動の意を表す。…のになあ。…だなあ。

「猫のへあがりて猫またになりて、人とることはあなる—」〈徒然・八九〉

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「ものを」の例文・使い方・用例・文例

• ことばよりも行動のほうがものを言う
• 彼は紳士としてあるべきものをすべて備えている
• 生まれてこのかたそれをしのぐものを見たことがない
• 父は私がいちばん欲しかったものをくれた
• 彼は多くの種類のワインを飲んできたが，いまだに最高のものを求めている
• その小さな男の子は，箱の中にあれこれこまごまとしたものを入れていた
• いちばん難しいものを除いてすべての問題に答えた
• 彼は皿のものをすっかり平らげてしまった
• 何か冷たいものを飲みたい
• 私は始終ものをなくしてばかりいる
• 外国語を教えるときは経験がものをいう
• 新しいデザインが十分に優れたものであれば古いものを駆逐するだろう
• 彼女は自分にとって大切なものをすべて失ってしまった
• ついに彼は望みのものを手にした
• 安いものを買うことが必ずしも経済的とはいえない
• 本当の飢えというものを知っていますか
• 彼女は必要もないものを買う癖がある
• 私はおいしいものを食べているとき，大変幸せである
• 私たちは楽しいものを求める感情に動かされることが多い
• なくしものを捜す