iPS細胞樹立の背景とは? わかりやすく解説

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iPS細胞樹立の背景

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 17:13 UTC 版)

人工多能性幹細胞」の記事における「iPS細胞樹立の背景」の解説

ヒトの体はおよそ60兆個の細胞構成されているが、元をたどればこれらの細胞はすべて、たった一つ受精卵増殖分化繰り返して生まれたのである。この受精卵だけが持つ完全な分化能全能性 (totipotency) と呼びヒト構成するすべての細胞、および胎盤などの胚体外組織自発的に作り得る能力を指す。受精卵胚盤胞まで成長すると、胚体外組織形成する細胞と、個体形成する細胞へと最初分化が起こる。後者細胞内部細胞塊存在し胚体外組織を除くすべて細胞分化できることから、これらの細胞がもつ分化能分化万能性または多能性 (pluripotency) と呼ぶ。この内細胞塊から単離培養されたES細胞もまた分化万能性持ち個体構成するすべての細胞分化できる。なお、成人にも神経幹細胞造血幹細胞など、種々の幹細胞知られているが、これらの幹細胞のもつ分化能は、神経系造血系など一部細胞種に限られており、多分化能 (multipotency) と呼ばれている。 ES細胞などの分化万能細胞は、培養条件によって分化万能性維持したまま増殖したり、多種多様な細胞分化することができる。しかしながら同一個体においては分化万能細胞体細胞内にもつ遺伝子塩基配列は(テロメアなど一部除き)全く同一であり、分化能違いは、様々な遺伝子の発現量と、それを制御するクロマチン修飾、およびDNAメチル化などのエピジェネティック情報違い由来する考えられている。例えば、ES細胞Oct3/4やNanogなどの遺伝子発現してES細胞としての分化万能性維持しているが、終末分化した体細胞ではこれらの遺伝子発現していない。全ての体細胞Oct3/4やNanogの遺伝子内に持ってはいるが、様々な転写因子エピジェネティック機構により、発現抑制されている。 こうした遺伝子発現パターン違い解析し人為的に切り替えることができれば分化した体細胞未分化分化万能細胞へと戻すこと(初期化リプログラミング])ができると考えられていた。この仮説裏付けていたのが、1962年ジョン・ガードン核移植技術用いてアフリカツメガエルクローン作製成功した事例にはじまるクローン動物存在である。すなわち、体細胞取り出し取り除いた未受精卵内に移植することによって、内の遺伝子発現パターン未分化細胞パターンリプログラムされることが示されている。また、体細胞ES細胞融合させることにより、体細胞遺伝子発現ES細胞様に変化することも知られていた。これはつまり、卵やES細胞中に内のエピジェネティック情報リプログラムすることが可能な因子含まれていることを意味している。ただし、その因子が一体何であるのかは、長い間謎に包まれていた。

※この「iPS細胞樹立の背景」の解説は、「人工多能性幹細胞」の解説の一部です。
「iPS細胞樹立の背景」を含む「人工多能性幹細胞」の記事については、「人工多能性幹細胞」の概要を参照ください。

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