SSI・MSI・LSI
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/23 03:25 UTC 版)
SSI, MSI, LSI というのは、集積する素子の数によってICを分類定義したものである。「MSI IC」のようにも言うものであるが、今日ではほぼ使われない。比較的小規模のものを単にIC、比較的大規模のものを単にLSIとしているが、現在ではICとLSIを同義語として使うことも多い。 初期の集積回路はごくわずかなトランジスタを集積したものであった。これをSSI (Small Scale Integration) とするのであるが、後にMSI (Middle Scale Integration) やLSI (Large Scale Integration) という語と同時に作られたと思われる、おそらくレトロニムであろう。航空宇宙分野のプロジェクトで珍重され、それによって発展した。ミニットマンミサイルとアポロ計画は慣性航法用計算機として軽量のデジタルコンピュータを必要としていた。アポロ誘導コンピュータは集積回路技術を進化させるのに寄与し、ミニットマンミサイルは量産化技術の向上に寄与した。これらの計画が1960年から1963年まで生産されたICをほぼ全て買い取った。これにより製造技術が向上したために製品価格が40分の1になり、それ以外の需要が生まれてくることになった。 民生品として大量のICの需要を発生させたのは電卓だった。コンピュータ(メインフレーム)でのICの採用は、System/360では単体のトランジスタをモジュールに集積したハイブリッド集積回路(IBMはSLTと呼んだ)にとどまり、モノリシック集積回路の採用はSystem/370からであった。 1960年代に最初の製品があらわれた汎用ロジックICは、やがて多品種が大量に作られるようになり、コンピュータのようにそれらを大量に使用する製品や、あるいは家電など大量生産される機器にも使われるようになっていった。1970年代にはマイクロプロセッサが現れた。 集積度の高いMSIやLSIが普通に生産されるようになると、そのうちそのような分類も曖昧になって、マイクロプロセッサなど比較的複雑なものをLSI、汎用ロジックICなど比較的単純なものをIC、と大雑把に呼び分ける程度の分類となった。
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