PowerPC 7450 "Voyager"
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/26 08:51 UTC 版)
「PowerPC G4」の記事における「PowerPC 7450 "Voyager"」の解説
PowerPC 7450は、G4プロセッサにおいて最初の(そして唯一の)大きな設計変更が行われたものである。チップには3,300万トランジスタ搭載され、7400/7410から大きく増加している。主な変更点は以下の通り。 強化されたスーパースカラ実行 7400/7410ではクロックあたり2+1(1は分岐)命令実行だったが、7450では3+1(1は分岐)命令実行に強化されている。 より長いパイプライン 整数パイプで従来の4段から6-7段、FPUパイプで従来の6段から11段等と各実行パイプラインで2-5段程度増加しており、より高い周波数での動作をターゲットとしている。7400/7410のパイプラインはPowerPC G3 (さらに言えば PowerPC 603) と同じ非常に短いパイプラインであり、クロック当たりの性能は高かったが動作周波数はあまり上がらず、当時のPentium IIIやAthlonなどのx86プロセッサが1GHzを超える周波数で動いていたのに対して大きく見劣りしていた。この改良により、G4プロセッサでも1GHzを超える周波数での動作が見込めるようになった。 整数演算ユニットの増加 7400/7410ではSimple x1, Complex x1の2ユニット構成であったのが、7450ではSimple x3, Complex x1の4ユニットと倍増している。 アウト・オブ・オーダー実行機構の強化 リオーダ・バッファのエントリ数が6から16に大きく増加し、in-flightで制御可能な命令が増加している。しかしながら、依然として完全にアウト・オブ・オーダー実行が可能なのは整数演算命令のみであり、FPUで実行される命令同士や、AltiVecの同じサブユニットで実行される命令同士は並べ替えて実行することができない。また、整数演算命令についても4つの演算器のリザベーション・ステーションと発行キューの合計で4命令分の命令ウィンドウしか存在せず、広い命令ウィンドウを持ち積極的なアウト・オブ・オーダー実行を行っていた当時のx86プロセッサと比較すると見劣りする仕様となっている。 AltiVecユニットの改良 7400/7410のAltiVecユニットはVector Permute命令を実行するユニットとそれ以外の命令を実行するユニットに分かれており、この2つの命令の組み合わせでのみ同時実行可能であった。7450ではこれがPermute, Simple Integer, Complex Integer, Floating Pointの4ユニット構成となり、4種類の命令の中から任意の2種類の命令の組み合わせで同時に実行できるようになった。 256KBのオンチップL2キャッシュの搭載 最大2MBまでの外部L3キャッシュをサポート 7450は2001年1月9日に、733MHzのPower Mac G4に採用された。なお、PowerPC 7451は7450と同等の機能を持つマイナーチェンジ版であり、7441は7451からL3キャッシュのインターフェイスを省いたものである。 7400/7410に対して大きな改良が行われた745x/744x系列のプロセッサをG4eもしくはG4+と呼ぶことがあるが、これは公式のものではない。
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