秩序変数(ちつじょへんすう、英: order parameter)または秩序パラメータ、オーダーパラメータとは、相が持つ秩序を表すマクロな変数のことである。
例えば結晶では、原子の並び方にある一定の秩序がある。結晶の向きが異なる平衡状態は、エネルギー
気体・液体・固体の相図の例。
気体・液体・固体相転移
物質の状態は温度や圧力によって変化し、固体・液体・気体などの相を持つ。このような異なる相の間を温度や圧力などの外的なパラメータによって移る現象が相転移であり、異なる相を区別する指標となる量が秩序変数である。
気体・液体相転移
気体・液体相転移における秩序変数は密度である。例えば、臨界点近傍では、気体と液体の密度差
対称性の破れの模式図。横軸は秩序変数、縦軸は自由エネルギーを表す。自由エネルギーFが極小値をとるときの秩序変数Ψがゼロであるとき、秩序変数のとりうる値は1点(Ψ=0)に固定されるので系は対称性を満たしており(左図)、最低エネルギー状態がゼロからずれて秩序変数が有限の値をとるとき、系の対称性は破れている(右図)。
ギンツブルグ=ランダウ理論
超伝導相転移を巨視的に記述するギンツブルグ=ランダウ理論(GL理論)において、秩序変数は巨視的波動関数と呼ばれる。これは、超伝導体全体が巨視的な量子状態として振る舞い、ただ一つの波動関数で記述できることに基づいている。巨視的波動関数は低温相で有限の値を持ち、高温相ではゼロとなる。
秩序変数の値は転移温度近傍でゼロに近くなっているため、GL理論では、ヘルムホルツの自由エネルギーを巨視的波動関数のべきで展開することで、自由エネルギーが極小値をとるときの秩序変数の値を決定し、相の状態を判別できる。
BCS理論
超伝導相転移を微視的に(量子力学的な電子から)記述する理論はBCS理論である。この理論の秩序変数はクーパー対(全運動量・全スピンがゼロとなる電子対によるボース=アインシュタイン凝縮)の消滅演算子をBCS波動関数で挟んだ期待値である。さらに、この期待値に比例するエネルギーギャップも秩序変数として扱うことができ、
ネマティック液晶において配向した液晶分子。
液晶相転移
液晶の一種であるネマティック液晶においては、温度を変化させることで、ネマティック相と等方相の相転移が起こる。このときの秩序変数は、配向秩序度と呼ばれ、

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