NEAR
NASAでは、惑星探査計画「ディスカバリー・ミッション」のひとつとして、小惑星探査機「NEAR」を1996年2月にデルタロケットによって打ち上げました。小惑星探査丘NEAR」は「Near Earth Asteroid Rendezvous」の略で、「地球に近い小惑星群とのランデブー」という意味を持っています。「NEAR」は、その名前のとおり、火星と木星の間の小惑星群(アステロイドベルト)に位置する小惑星「エロス」に接近し、約1年間その調査を行いました。
小惑星の調査で、太陽系の進化を探る
「NEAR」は、1997年6月に小惑星「マチルダ」の近くを通過し、その際にとらえた映像を地球に送ってきています。そして2000年2月、目的の小惑星「エロス」の周回軌道に入りました。これらの小惑星は、太陽系ができる初期の頃の姿をとどめていると考えられており、「NEAR」によるエロスの観測は、太陽系の進化を探る重要な手がかりとなるだろうと期待されています。
小惑星「エロス」表面のクレーターを撮影
アメリカの無人探査機「NEAR」が、2000年2月14日に、小惑星エロスの周囲を回る軌道に乗ることに成功し、軌道上からエロスの表面を撮影して画像を送信してきました。
エロスは長さ33km、幅13km、厚さは13kmで、細長いジャガイモのような形をしています。NEARは、エロスから333kmの地点を飛行し、エロスの表面にある直径5kmほどのクレーターを撮影したほか、エロスが約5時間ほどで自転するようすをとらえて送信してきました。
惑星形成のナゾを解く手がかりを観測
ところで小惑星のほとんどは、火星と木星の間に分布し、ドーナツ状の輪をつくって太陽を周回しています。エロスもかつてはこの小惑星群の1つでした。しかし、小惑星どうしの衝突による衝撃や木星の重力エネルギーで、小惑星帯からはじき出され、太陽をめぐる小惑星となりました。これら小惑星のうち、太陽から1億9,500万km以内に近づくものは、地球に接近する可能性のあるもので、これまでに約800ほど確認されています。かつては地球に衝突したり、1989年の時のように幅が400mの小惑星が、地球から60万kmまで接近した例などもあります。
これらの小惑星は、太陽系を形成した物質の残がいと考えられ、物理学的・地質学的な特性を調査したり、他の彗星や隕石との関連性を調べるなどで、太陽系誕生のなぞの解明につながるものと期待されています。NEARは1年間エロスの軌道を回り、5〜10mの精度での地形図作成も行いました。そして2001年2月12日、軟着陸に成功しました。
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