IDEF1XとLDDT
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/05/05 15:23 UTC 版)
「IDEF1X」の記事における「IDEF1XとLDDT」の解説
IDEF1Xとは、空軍のIDEFプログラムの管理者の観点から見るならば、ICAM IISS-6201プロジェクトの成果であり、ICAM IISS-6202プロジェクトによってさらに拡張されたものである。IISS-6202プロジェクトにおいて認識されたデータモデリングの拡張要求を満たすため、下請業者であったDACOMは、論理データベース設計技術 (LDDT, Logical Database Design Technique) とそのサポートソフトウェア (ADAM) のライセンスを取得した。IDEF1Xは、モデリング手法の技術内容の観点から見るならば、単にLDDTを改名したものである。 LDDTは、データベース設計グループ (The Database Design Group) のロバート・G・ブラウンによって1982年に開発された。彼らはIDEFプログラムとはまったく無関係であり、IDEF1についての知識はなかったが、しかしIDEF1とLDDTの核心的な目標は同じであった。すなわち、関連する実世界のエンティティをモデル化し、事業体に必要な永続的な情報について、データベースに依存しないモデルを作成することである。LDDTでは、データのモデル化とデータモデルのデータベース設計への変換を支援するため、関係データモデルである実体関連モデルにデータの汎化という要素を組み合わせた。 LDDTには、階層化環境(名前空間)、多層モデル、汎化・特化のモデリング、主キーおよび外部キー関係の明示的表現が含まれた。最終的に設計されるデータベースがどのような種類であろうとも、時に微妙なケースのある一意性と参照整合性の制約は認知、遵守されなければならないが、LDDTではこれを主キーと一義的な役割名の外部キーによって表現した。これはデータベース設計においてキーやインデックスにLDDTモデルに基づく制約を使うかどうかとはまったく別である。モデルを比較的スムーズにデータベース設計に変換するにあたって、LDDTモデルの精度と完全性は重要な要素となった。初期のLDDTモデルはIBMの階層型データベースであるIMSのデータベース設計に変換されていたが、のちにCullinetのネットワーク型データベースであるIDMS(英語版)や、様々な関係データベースのデータベース設計にも変換されることとなった。 LDDTの図式構文はIDEF1とは異なっており、しかもLDDTにはIDEF1に存在しない多くの相互関係モデリングの概念が含まれていた。そのためIDEF1を拡張することはせず、代わりにDACOMのメアリー・E・ルーミスは、LDDTの大部分について、可能な限りIDEF1と互換性のある用語を使ってその構文と意味の要約を書き上げた。 DACOMはこの成果をIDEF1Xと名付けてICAMプログラムに提供し、1985年に発表された (IEEE 1998, p. iii) (Bruce 1992, p. xii)。
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