FA権の取得を口実とする「事実上の構想外」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 03:17 UTC 版)
「フリーエージェント (日本プロ野球)」の記事における「FA権の取得を口実とする「事実上の構想外」」の解説
先述の「所属球団を失う恐れ」とも関係するが、選手がFA権を取得した場合、それを口実として、球団側が「事実上の構想外」として退団へと追いやって、選手にとって不本意なFA権行使になるケースが少なからず発生している。背景としては選手がFA権を取得する場合、年俸が高騰することが多いので、球団の財政的に高騰する(と思われる)年俸に対応できないと判断された場合、あるいは高騰する(と思われる)年俸に見合う成績を見込めるとは言いがたいと判断された場合が挙げられる。 これに該当し得る事例として先述の藤井の他、仲田幸司(1995年:阪神→ロッテ)、西崎幸広(1997年:日本ハム→西武)、小宮山悟(1999年:ロッテ→横浜)、今江敏晃(2015年:ロッテ→楽天)、陽岱鋼(2016年:日本ハム→巨人)が挙げられる。仲田、今江及び陽はFA権行使に当たって必ずしも移籍を望んでいるわけではなかったが、所属球団との下交渉の過程で「(来季以後の)戦力構想に入っていないと感じた」などとのことで、FA権行使を表明する会見は結果として事実上の「退団会見」となってしまった。西崎と小宮山は、FA権を行使することなく西武、横浜へとそれぞれ移籍している。これらは球団の主力選手でありながら、球団に対する物言いの多さからFA権取得と成績低下が重なった時期に、トレードや自由契約で「事実上の構想外」とされた例である。 2017年のシーズン中に巨人で国内FA権を取得していた村田修一も、この年のシーズン終了後に、NPB他球団への移籍を視野に入れていながら球団から自由契約を通告されている。国内FA権の行使によって横浜から2011年末に巨人へ入団していた村田は、出番が減っていた2017年のシーズン中にこの権利を再び取得。2018年以降にNPB他球団で現役生活を続けることを前提にFA権の再行使を検討していたところ、NPBが定める行使の申請期間を前に、当時の鹿取義隆GMから自由契約を言い渡された。鹿取によれば、「巨人へ大いに貢献した功労者」である村田が国内FA権の再行使を通じてNPBの他球団へ移籍した場合に、その球団から巨人に対する補償の義務が生じることを避けるための通告だったという。もっとも、実際には自由契約の公示後も村田の獲得に乗り出す球団がNPBから現れなかったため、村田は翌2018年にベースボール・チャレンジ・リーグ(独立リーグ)の栃木ゴールデンブレーブスで現役を続行。この年限りで現役を引退したことを機に、2019年からコーチとして巨人へ復帰している。
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