所属球団を失う恐れ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 03:17 UTC 版)
「フリーエージェント (日本プロ野球)」の記事における「所属球団を失う恐れ」の解説
現行制度では、FA権を行使した選手が新たな球団と契約を締結できず、さらに元の球団との再契約にも至らなかった場合、所属球団がなくなる可能性がある。この状況に至ることを所謂「セルフ戦力外」と呼ぶ。特に移籍先が国内12球団に限定される国内FAの場合、その問題はより顕著である。 国内FA権を行使した選手は、11月末の時点で移籍先が見つからなかった(別の球団からオファーがなかった)場合、FA宣言時に所属していた球団(元の球団)の保留選手名簿に名前が記載される。この場合、FA宣言した選手は元の球団を含むNPB所属球団と引き続き交渉を続けることができるが、いずれとも契約できなかった場合はプレーする球団を失う。一方、球団は選手枠を1つ費やさなければならないうえ、翌年1月10日以降は保留手当を支払う義務を負う。 この状態が解消されるには、FA宣言した選手が国内の別の球団と契約を結ぶか、元の球団が当該選手を自由契約にしなくてはならない。ただ、保留選手名簿に記載された時期は、すでにそのシーズンの戦力外通告の期間が経過した後であり、その時期に選手の同意なしに自由契約にすることは選手会からの反発を受けるため、NPB所属球団は翌シーズンの10月1日に事実上の戦力外通告を行い、自由契約として公示される前日の11月30日まで保留手当を支払わなければならなくなる。また、選手の同意が得られたとしても、自由契約となった場合はFA移籍のような契約金が得られず、大幅減俸での契約も可能となるため、選手は不利な内容での契約を強いられる恐れがある。 これらの問題が現実化したものとして、2009年に国内FA権を行使した北海道日本ハムファイターズの藤井秀悟の事例が挙げられる。藤井は、他球団への移籍を希望して11月9日にFA権を行使したが、同月末の時点で国内球団からオファーはなく、日本ハムにも再契約の意思がなかったため、保留者名簿に藤井の名前が記載された。一時はプロ野球選手会が懸念を表する事態にもなったが、12月8日に読売ジャイアンツへの移籍が合意に至ったため、最終的に「所属球団なし」の状態は免れることになった。 2015年11月15日には広島東洋カープの木村昇吾がFA権を行使したが、当時広島はFA宣言後の残留を認めておらず、その他の球団からも公示から1か月が経っても動きがなかった。その後木村は埼玉西武ライオンズの入団テストを受け、2016年2月5日に西武と1年契約を結んだ。なお、この場合でもNPBの規定上FA権の行使による移籍となる。
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