EUの目標としての社会的市場経済
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/01 03:19 UTC 版)
「社会的市場経済」の記事における「EUの目標としての社会的市場経済」の解説
EU基本条約の3条においては、EU市場(ドイツ語版)とのつながりのなかで、EUは、「均衡のとれた経済成長と価格の安定性を土台にしてヨーロッパの持続的な成長に」影響を与える。それは「完全雇用と社会福祉の進歩を目標とし、高度に競争する能力をもった社会市場経済である」。このような公式は、すでに2004年のEU憲法にも導入されており、それが否決されたあと、リスボン条約において採択され、2009年に施行された。さらにEUの経済秩序はEU労働基本条約(ドイツ語版)においても、例えば第119条において、「自由な競争のある開かれた市場経済」として記されている。EUの通貨統合は、この原則に従っている。またすでに1992年のマーストリヒト条約においても、基本条約として受け入れられている。 EU憲法条約のI-3条2項にも社会主義と並んで挙げられた経済政策的な目標のひとつは、「自由で純粋な競争のあるEU市場」でもあった。しかしこの公式は、オープンな議論のなかでは批判されることになり、とくに2005年の憲法条約で否決されたフランスでの国民投票では、極めて自由主義的なEUの発展を表現したものであると見なされた。そのためリスボン条約においては棄却されることになったが、市場の歪曲に対する保護は、追加議定書によってEU市場(ドイツ語版)の部分として定義された。最終的には、憲法条約においても、リスボン条約においても、この公式はこれまで有効であったEU競争政策からの方向転換を意味するものではなくなった。すでに1958年の欧州経済共同体設立条約では、「共同体内部での競争を歪曲から保護するシステムの樹立」は、欧州経済共同体の目的であるとされていた。当初から欧州共同体の競争理念は、オルド自由主義学派の市場経済的プログラムへと方向づけられており、このプログラムは、ドイツの社会的市場経済の主要理念に影響を与えていたのである。 連邦首相のアンゲラ・メルケルは、リスボン条約に証明する際に次のように説明してる。「社会的市場経済の基本思想は、秩序のある競争という基本思想であります。この思想を私たちはEUに伝えなければなりません」。
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