Doc (Franklin) Hata
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/10 18:34 UTC 版)
「最後の場所で」の記事における「Doc (Franklin) Hata」の解説
ドク・ハタの登場人物としての役割は、物語の語り手である。物語はどの部分も彼の目を通して見たことが語られる。読者に語る内容は、ベドリー・ランでの出来事だけでなく、非常に短くはあるが子どもの頃の話も含まれる。また、第二次世界大戦の頃の体験だけでなく、娘のサニーと暮らした日々のことも含まれる。ドク・ハタはこれらの出来事すべてを時系列に合わせて順番に語ることはせず、散在的にちりばめて語る。ハタの人生と彼が強迫的に行う日々のルーチンに関して多くのことを物語るフラッシュバックが連なり、作品が構成されている。 ハタはベドリー・ランという町にある豪邸に住んでおり、医薬品を取り扱う店を経営している。第二次世界大戦中は衛生兵であった。ハタという名前は日本人の名前であるが、民族的には朝鮮人である。彼は子どものいない日本人の夫妻のところに養子に入ったのである。彼は日本の南西沿岸部で育った。いい子ではなく、気難しい子どもであったと、ハタは読者に語る。自分を実子のように愛情深く育ててくれた養親に対して寛容でなかったという。 ハタは戦時中の1944年、ビルマに配属される。そこで彼は、実務訓練は受けているが正式な教育は受けていない衛生士官として、従軍する。第二次大戦中の出来事のフラッシュバックにおいては、ドク・ハタは、クロハタ・ジロー中尉として言及される。ビルマにおける彼の任務は、慰安婦の健康管理である。慰安婦らは士気と「衛生」を維持することが任務である。ハタは慰安婦の少女らの一人、Kkutaeh に恋をする。ハタの回想ではK.として言及される彼女であるが、実は両思いではなかったことがのちに明らかになる。ハタがそのように思い込んでいただけであった。 ベドリー・ランに住み着いてはじめての数年間は、娘の名前を取って、サニー・メディカル・サプライ(Sunny Medical Supply)と名付けた店を経営していた。ハタはサニーを、まだ幼いうちから養子に取った。みんなには自分は幸せな父親だと話しているが、その実、娘との関係はあまりよくない。その理由は、娘を甘やかし過ぎ、また、将来が心配だと頻繁に言うからである。メアリ・バーンズと出会ったとき彼は幸せな家庭を作ろうとするが、サニーが同意しなかった。これらすべてのことがサニーを追いつめ、父親から離れることを決心させた。 ドク・ハタは、強迫的なルーチンを繰り返す日々を送っている男である。彼は「引退後のライフスタイル」というものを好まず、それゆえ、くる日もくる日も決まりきったことを繰り返している。座右の銘は「継続は力なり "Routine triumphs over everything"」である。物語の最後に彼は居心地のいい繰り返しの毎日に終止符を打つ。
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