ANM176開発の経緯
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/31 04:01 UTC 版)
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ANM176は、アミロイドベータタンパク質 (en:Amyloid beta、以下ではAβと表記する) によるAβ神経毒性の抑制成分に関する研究が基になって開発された。Aβは、アルツハイマー病の原因タンパク質と考えられている。マウスの脳にマイクロインジェクト(en:Microinjection)したAβは、行動試験における記憶や学習力を阻害するAβ神経毒性が現われる。このAβ神経毒性試験を応用したAβ神経毒性抑制力の評価方法が開発され、健忘に有効と伝承されてきた漢方生薬トウキの根中からAβ神経毒性を抑制する成分がスクリーニングされた。その結果、トウキにはAβ神経毒性抑制する成分が13種類含まれることが判明した。この13成分はフェルラ酸とクマリン類の12種で、また、これらの成分にはAβ神経毒性抑制の相乗効果があった。これら13成分の307通りの組合せの中で、最もAβ神経毒性抑制効果が高かった176番目の配合を基にトウキを原料としたINM176が開発された。二重盲検法による臨床試験でINM176は、アルツハイマー病の進行を抑制できる可能性がプラセボ対比で示された。 一方、医薬品として使用されるトウキは食品に使用できないため、トウキと同じせり科シシウド属の植物で ヨーロッパでは古くから食品として利用されているガーデンアンゼリカの根に着目された。しかし、ガーデンアンゼリカの根にはAβ神経毒性を抑制する13成分の中でヒトの消化器官から吸収できる形態のフェルラ酸がほとんど含まれていないため、食品用のフェルラ酸とAβ神経毒性を抑制するフェルラ酸以外の12種類のクマリン類が規定量含まれるガーデンアンゼリカの根の抽出物を配合した食品用製剤ANM176が開発され、マウスの行動試験でANM176のINM176と同等以上のAβ神経毒性抑制効果が確認された。
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