2009年の衝突
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 09:30 UTC 版)
「木星への天体衝突」の記事における「2009年の衝突」の解説
Anthony Wesley は、2009年7月19日13時30分と同日14時1分に撮影された木星の表面の画像中に、木星の南極側に長さが8,000キロメートルもある暗い模様が写っていることを発見した。はじめに疑われたのは磁気嵐であるが、観測の結果どの周波数帯の電磁波も放出されていないことがわかった。また、位置や大きさ、運動速度から、木星の衛星の影であることも否定された。このことから、この模様は発見の数日前に衝突した小天体の跡であることが疑われた。 その後、ハッブル宇宙望遠鏡が模様を観測し、シューメーカー・レヴィ第9彗星の観測データと比較した結果、この模様は幅500メートルほどの小惑星による衝突痕であることが示された。この規模の衝突では、ツングースカ大爆発の数千倍ものエネルギーが放出されるが、この程度の大きさの小天体を地球軌道の位置から事前に発見し観測するのは、当該小天体があまりにも暗すぎるので困難である。 紫外線領域で撮影すると、シューメーカー・レヴィ第9彗星の場合は、核が衝突した際に細かい塵が周りに飛び散ってハローを形成していた。しかし2009年の衝突ではハローが観測されていないことから、このケースは軽い粒子をあまり含まない固体の天体、彗星よりむしろ小惑星が衝突した可能性が高いという結論が出された。また、衝突痕が細長い形をしていることから、小惑星は木星表面に対して浅い角度で衝突したと考えられる。このことから、衝突したのは木星と3:2の軌道共鳴をしている小惑星のグループであるヒルダ群に属する小惑星であると考えられている。 発見された時期は、偶然にも15年前にシューメーカー・レヴィ第9彗星が衝突した時期であった。それまでは木星と小天体の衝突は数百年から数千年に1回程度の珍しい現象であると考えられてきたが、2009年の衝突痕の発見により、実際にはこれより頻繁に起こっている可能性が示された。
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