鷲ノ木遺跡とは? わかりやすく解説

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鷲ノ木遺跡

名称: 鷲ノ木遺跡
ふりがな わしのきいせき
種別 史跡
種別2:
都道府県 北海道
市区町村 茅部郡森町
管理団体 森町
指定年月日 2006.01.26(平成18.01.26)
指定基準 史1
特別指定年月日
追加指定年月日
解説文: 遺跡北海道南部噴火湾面した森町位置する高速道路建設先立ち森町教育委員会発掘調査行ったところ、縄文時代後期大規模な環状列石竪穴墓域見つかった環状列石中央の配石とそれを中心にし、50cmほどの間をあけて配置され二重の列石から構成され外周南北37m、東西34mの規模で、ほぼ円形である。環状列石構成している礫の大きさ20から80cm、総数は約530個で内側の方がやや大き傾向がある。環状列石に伴うものとしては、埋設土器1個と5箇所砂利集積がある。竪穴墓域楕円形の竪穴内に大小10基の土坑があるもので、環状列石から西へ5m離れた場所から発見された。環状列石竪穴墓域駒ヶ岳テフラ厚く覆われていたため、保存状態極めて良好である。環状列石規模北海道内では最大で、全国的にみても3番目となる。また、構造や礫の配置などには北東北環状列石とは異なった状況もみられ、配石下の土坑などが確認されていないことから、環状列石自体墓地として機能していない可能性が強い。本遺跡北日本における環状列石墓制祭祀などの精神世界北海道本州交流について考え上で重要であると同時に北海道独自の墓制である周堤墓の成立過程を探ることができるものとしても重要である。

鷲ノ木遺跡

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/02/17 08:59 UTC 版)

鷲ノ木遺跡環状列石。現在は保護シートがかけられている。
森町遺跡発掘事務所内にある鷲ノ木遺跡の模型。

鷲ノ木遺跡(わしのきいせき)は、北海道茅部郡森町鷲ノ木町に所在する縄文時代遺跡である[1]

概要

縄文時代後期前半(約4,000年前)の環状列石と竪穴墓域、配石遺構や竪穴住居が発見されており、北日本における縄文時代の墓制や祭祀、東北地方との交流を考えるうえで貴重な遺跡である。2006年平成18年)1月26日に、国の史跡に指定されている。遺跡は内浦湾(噴火湾)から直線距離で約1km内陸に所在する。

環状列石と竪穴墓域は、桂川支流の上毛無沢川と下毛無沢川に挟まれた標高68mの舌状台地の南西部に位置し、環状列石構築期に前後する遺構が南方の標高約20m低い台地から発見されている。

環状列石内からは遺物が少量しか発見されておらず、片付け(整理・整頓)が行われたことも考えられている[1][2]

沿革

  • 2002年平成14年) 鷲ノ木4遺跡発掘調査の際に、工事用道路の法面から遺物が採集され、鷲ノ木5遺跡として登録される[3]
  • 2003年(平成15年) 環状列石の存在が明らかになると伴に、環状列石南側約5m地点で発見された竪穴墓域とあわせ、遺跡の重要性が確認される[3]
  • 2005年 (平成17年) 平成16年から北海道教育委員会が日本道路公団(現:東日本高速道路)に遺跡保存の依頼を行い、トンネル工法により高速道路を整備し遺跡の現状保存の合意がなされる[3]
  • 2006年 (平成18年) 鷲ノ木5遺跡と鷲ノ木3遺跡を統合し、鷲ノ木遺跡として国の史跡に指定される[3]
  • 2012年(平成24年) 国の史跡「鷲ノ木遺跡」に80,136.37平方メートルの土地が追加指定され、指定区域の合計面積は82,856.87平方メートルとなった[4]

環状列石

30〜40cmの石が平行な環状に並べられており、外環と内環の二重構造をもつ。外環は石の長軸方向を連ねて配置し、内環は石の長軸方向を中心部に向けて配置されている。環状列石の中心部には小規模な楕円形の配石があり、石の数は602個である。

環状列石の外環は36.9m×33.8mの大きさである[1][2][5]

竪穴墓域

環状列石の南約5mに位置する。大きさ11.6m×9.2mの竪穴内に7基の土坑と4基のピット(小さな穴)をもつ。土坑の大きさは直径1m〜2.3m、深さは30cm〜90cmであり、出土した遺物や土の堆積状況から墓と考えられている[1]

縄文時代後期後葉〜晩期初頭に道央や道東で造られた周提墓(環状土籬(かんじょうどり)ともいう)等の始まりを考えるうえで、重要な遺構である[1][2][5]

画像左から竪穴墓域があり、環状列石に続く。現在はシートにて保護されている。

出典

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  1. ^ a b c d e 小林達雄 編 2010年 「世界遺産 縄文遺跡」P44-45 同成社 ISBN 978-4-88621-498-0
  2. ^ a b c 文化庁編 2005年「発掘された日本列島2005 新発見考古速報」P8,P16-17 ISBN 4-02-257987-0
  3. ^ a b c d 北海道森町教育委員会 編 2015年「鷲ノ木遺跡VII」P1
  4. ^ 鷲ノ木遺跡の追加指定告示(北海道教育委員会)
  5. ^ a b 関口明、越田賢一郎、坂梨夏代編 2015年「北海道の古代・中世がわかる本」P36-38 亜璃西社 ISBN 978-4-906740-15-4

関連項目

外部リンク

座標: 北緯42度6分57.0秒 東経140度31分33.0秒 / 北緯42.115833度 東経140.525833度 / 42.115833; 140.525833



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