高ホモシステイン血症改善効果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 02:46 UTC 版)
「エリタデニン」の記事における「高ホモシステイン血症改善効果」の解説
SAHH酵素活性阻害作用がもたらす効果として、高ホモシステイン血症改善効果がある。血中のホモシステイン濃度が異常に高くなる高ホモシステイン血症は認知症との関連性を指摘する研究があるほか、脳梗塞の危険因子とも言われている。高ホモシステイン血症は心血管および神経変性疾患にも関連していると言われ、近年注目されるようになった。ビタミンB6やビタミンB12、葉酸はホモシステイン代謝に影響を及ぼし、これらの不足が高い血中ホモシステイン濃度に繋がることが知られている。 葉酸およびビタミンB12を欠乏させ、故意に高ホモシステイン血症様症状を誘発したマウスを用いた実験で、血中ホモシステイン濃度の増加がシイタケ粉末またはエリタデニンの投与によって減少したとの報告がある。この時、SAHH活性は高ホモシステイン血症マウスで有意に高く、シイタケまたはエリタデニンの投与量に応じて用量依存的に低下した。また、同時にDNAメチルトランスフェラーゼ DNMT1、DNMT3aのmRNA発現レベルは高ホモシステイン血症マウスで減少し、シイタケまたはエリタデニンの投与で回復した。シイタケまたはその有効成分であるエリタデニンはマウスのDNAメチル化関連遺伝子の調節に関与し、SAHH活性を有意に低下させ、高ホモシステイン血症に有益な治療効果をもたらした。また、SAHはメチオニンからS-アデノシルメチオニン(SAM)を経て生合成されるが、メチオニンを単回投与にて過剰摂取させたメチオニン誘発性高ホモシステイン血症ラットを用いた実験でも、メチオニン投与後2時間で血漿ホモシステイン濃度の増加が観察された一方で、エリタデニンを与えていたラットは抑制されていた。この時、エリタデニン投与によってSAHおよびその前駆物質であるSAMが蓄積された一方、ホモシステイン濃度の低下が観察されている。類似した実験として、グアニジノ酢酸やニコチン酸などのメチル基受容体を投与したメチル基受容体誘導高ホモシステイン血症ラットでも同様の効果が見られている。
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