高マグネシウム血症とは? わかりやすく解説

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高マグネシウム血症

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/02 23:28 UTC 版)

高マグネシウム血症(こうマグネシウムけっしょう)は血中のマグネシウム濃度が上昇する電解質代謝異常症で、何らかの原因でマグネシウムの代謝(排出)が正常に行われないと発症する。

原因

一般的には、腎不全などの代謝機能の低下状態でマグネシウムを含む胃腸薬便秘薬を摂取している場合に発症する。

原因別に分類すると[1]

  1. 腎機能低下による腎排泄減少
    • 急性・慢性腎不全
  2. ホルモンによる尿細管性再吸収亢進
  3. マグネシウム過剰負荷
  4. 腸管吸収の亢進
  5. その他

症状

  • 精神症状:倦怠感、無関心、傾眠
  • 筋肉障害:筋力低下、筋硬直
  • 循環器症状:徐脈不整脈、起立性低血圧
  • 神経症状:腱反射低下、意識障害[4]
  • 消化器症状:悪心、嘔吐
  • その他:排尿障害、運動失調、構音障害[5](広義の言語障害のうち、意図した音が正しく発声できない状態)
合併症
高カリウム血症[3]

このうち、最も致命的な症状は徐脈性不整脈による血圧低下である。重症の場合には死亡することもある。そのため、マグネシウム含有製剤の腎不全患者への投与は原則禁忌である。

診断

緩下剤(便秘薬)などのマグネシウム含有製剤または食品を摂取している腎不全患者に起こる。腎機能の正常な人に起こることはない。血液中のマグネシウム濃度3mg/dl以上で、診断が確定する[6]

治療

自尿の保たれている腎不全患者で、症状が軽度の場合は、マグネシウム製剤の投与を停止し、生理食塩水や乳酸リンゲル液の輸液により尿中への排出を促す。透析患者など腎からの排泄が期待できない場合や、高度の徐脈性不整脈や意識障害を合併している場合は、グルコン酸カルシウム注射液(カルチコール[7])を投与した上で、人工透析を行う[8]

脚注

  1. ^ 羽根田俊、マグネシウム代謝異常 日本内科学会雑誌 Vol.88 (1999) No.7 P.1201-1205, doi:10.2169/naika.88.1201
  2. ^ 白澤祐一 ほか、甲状腺機能低下症の関与が疑われた高マグネシウム血症の1例日本内科学会雑誌 Vol.94 (2005) No.5 P.967-968, doi:10.2169/naika.94.967
  3. ^ a b 岡田一義、花川和也、前田浩利 ほか、原因不明の高Mg血症により呼吸困難, 傾眠傾向を呈した維持血液透析患者の1例 日本透析療法学会雑誌 1991年 24巻 5号 p.647-649, doi:10.4009/jsdt1985.24.647
  4. ^ 中司敦子, 神崎資子, 高木章乃夫, 岩田康義, 池田弘, 福島正樹「高マグネシウム血症により意識障害をきたした慢性腎不全の2例」『日本透析医学会雑誌』第37巻第2号、日本透析医学会、2004年、163-168頁、doi:10.4009/jsdt.37.163ISSN 1340-3451NAID 130003721796 
  5. ^ 橋詰直孝「6.マグネシウム代謝異常」『日本内科学会雑誌』第86巻第10号、日本内科学会、1997年10月、1857-1861頁、doi:10.2169/naika.86.1857ISSN 00215384NAID 10005231181 
  6. ^ Q.3 電解質異常の自覚症状(初期症状) くまもとDIニュースNo.236(2000年4月号)
  7. ^ カルチコール8.5% (PDF) - 日医工、2014年改訂、2019年8月18日閲覧
  8. ^ 高マグネシウム血症 (PDF)

関連項目

外部リンク



高マグネシウム血症

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 09:14 UTC 版)

電解質異常」の記事における「高マグネシウム血症」の解説

高マグネシウム血症の診断基準血清マグネシウム2.5 mg/dL(基準値施設により異なる) 症状筋力低下呼吸不全 徐脈 昏迷 主要な原因排泄低下腎不全 摂取量増加緩下剤制酸剤子癇予防薬など。特に腎不全を伴う場合 その他、甲状腺機能低下症アジソン病リチウムテオフィリン糖尿病性ケトアシドーシス、など 詳細は「高マグネシウム血症」を参照

※この「高マグネシウム血症」の解説は、「電解質異常」の解説の一部です。
「高マグネシウム血症」を含む「電解質異常」の記事については、「電解質異常」の概要を参照ください。

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