高バイパス比エンジン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/18 14:27 UTC 版)
「ターボファンエンジン」の記事における「高バイパス比エンジン」の解説
高バイパス比エンジンは、バイパス比が概ね4以上のものを指す。1960年代後半から実用化が行われた。ファンからの空気噴出量がコアエンジンからの排気と比較し、圧倒的に大きく、比較的低速の飛行に適したエンジンである。現代のジェット旅客機エンジンの主流となっている。バイパス比の向上は、亜音速飛行における燃費の向上につながる。冶金及び冷却技術の向上がタービン温度の高温化を可能にし、コアエンジンの出力増大を導いた。これがファン出力の増大に結び付いている。 初期の高バイパス比エンジンであるP&W JT9D(ボーイング747などに使用)はバイパス比5程度であるが、最新のエンジン・アライアンス GP7000ではバイパス比8.7となっている。この値はターボプロップエンジンのプロペラ推力とジェット推力の比に近く、1段のファンにてほとんどの推力を得るため、「プロペラへの回帰」と解説するむきもある。また遊星ギヤによって減速機構がコアエンジンの主軸と同軸上にある高バイパス比エンジン(ギヤードターボファンエンジン)もあり、ターボプロップエンジンとの境が曖昧になりつつある。 高バイパス比エンジンでは、ノズルでファンからの排気とコアエンジンの排気を混合せず、ファンの直後でエンジン外に排気されるものが多い。これは長いダクトを通る事による効率低下のデメリットを回避するためである。ファンからの空気排気の量がコアエンジンの排気の量よりも圧倒的に多いため、ファンの直後で排気された噴流がコアエンジンの排気を包み込む格好になるため、両者の混合は問題無く行われ、コアエンジンからの排気ガスの流速は最適化される。ファンの排気がコアエンジンの排気を包み込むために騒音が小さくなるので、都市部での飛行経路の自由度が増すメリットが有る。キャビンの騒音も軽減される。
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