香港アプローチ・香港カーブ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/05 09:52 UTC 版)
「啓徳空港」の記事における「香港アプローチ・香港カーブ」の解説
啓徳空港は、滑走路13への着陸進入の際大きく機体を傾けつつ九龍仔公園上空近辺で機体を右旋回させ、ビル群すれすれの高さを飛行して着陸する「香港アプローチ(香港カーブ)」で有名だった。 なお啓徳空港は、アメリカの「ヒストリーチャンネル」の番組において、「世界で最も危険な空港」第6位に選ばれている。 滑走路13へ着陸する際は、一旦西側に迂回し現在の香港国際空港上空あたりで約180度右旋回の後、啓徳空港の西側から東に向かって進入した。この際本来なら空港の滑走路延長上から射出されている誘導電波 ILS に従って進入するが、啓徳空港では滑走路に対し48度オフセットで設定されて射出されている誘導電波 IGS に従い一旦進入し、空港から約5マイルに設定されたミドルマーカを通過後に大きく右旋回させ、地上に見える進入路指示灯の指示に従い滑走路へ進入する「香港アプローチ」と呼ばれる方式が多用された。 この香港アプローチは、最終進入へ旋回する直前にILS を解除し、飛行すべき場所の目安として空港とは関係のないビルの屋上などに取り付けられた進入路指示灯を頼りにするという、パイロットにとっては相当な技量が要求されるものだった。それゆえに「世界一着陸が難しい空港」と称されていた。 滑走路13への最終進入態勢である「香港カーブ」は機長の技量が問われ、香港を拠点としていたキャセイパシフィック航空の機長たちは、安全と乗り心地を考えた結果、IGSを早めにディスエンゲージし北側へわずかに進路を修正後、緩やかに右旋回をしバンク角も少なめにスムーズに着陸することを「秘伝の技」として編み出していた。 一方で慣れていない機長は、小刻みに変針して滑走路に降りる寸前まで機体の進路が定まらず、揺れが大きく乗り心地も悪くなりがちだった。また接地地点が遠くなり、着陸滑走する距離が短くなることもあった。さらに過密空港だったため、接地後航空管制官からすぐ誘導路へ待避指示が出ることが多かった。 それゆえ、着陸進入に失敗して着陸復行・タッチアンドゴーしたり、着陸過走して滑走路先の海に突っ込んだり、尻もち着陸をしたり、ジェットエンジンを滑走路に接触させたりするトラブルが閉港に至るまで数多く生じた。ただし手前のビルや住宅へ突入した事故は皆無であった。 旋回直前までの進入路で最も高い障害物である空港北西部の小さな丘は、紅白で塗られた「チェッカーボード」が置かれ、啓徳空港のランドマークのひとつでもあった。
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