非突発性異常
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/16 08:55 UTC 版)
非突発性異常は主に脳波の基礎律動と振幅の異常であるが実際問題として最も重要なのは徐波である。 α波の徐波化 基礎律動の徐波化は多くの場合は脳の機能低下を示している。前述のように分布を確認することで原因を推定できることもある。開眼や音刺激を加えてもα波の出現が悪く、徐波が出現する場合は大脳皮質の機能低下と考えられる。成人では安静時にδ波が出現すれば明らかに異常であり、θ波でもはっきり目立つ程度に出現すれば軽度の異常である。 異常速波 高振幅速波が基礎律動となる場合がある。薬剤性が多いが、内分泌疾患などでも起りえる。基礎律動として側波が異常脳波としてみなされるのは異常に高振幅であるときのみである。 α波をはじめ正常の構成成分の異常 局所性振幅の減少や消失、局所性の振幅の増加、局所性の徐波化、位相の乱れなどが認められることがある。障害部位においては覚醒時脳波(α波、徐波、速波など)の振幅が低下したり増大したりする。睡眠時脳波でも速波、紡錘波、徐波、K複合波などが患側では振幅が減少したり、欠如する。こういった現象をlazy activityという。 組織化不良 基礎律動の周波数変動は1Hz以内が正常であり、それを超えると脳波は不規則に見える。このとき組織化不良という。 局所性徐波 半球性に白質ないし皮質が障害された場合には持続性多形性δ活動(PPDA)が出現する。PPDAは局所性脳病変のマーカーである。振幅、周波数、持続性、刺激に対する反応性が障害程度の指標となる。持続性徐波は重度脳障害を、間欠的徐波は軽い脳障害を示唆する。反応性がない徐波はより障害が強い。 広汎性徐波 広汎性に出現する不規則な徐波は半球性の白質および皮質を含む大きな病変で観察される。 両側性同期性徐波 前頭部間欠性律動性δ活動(FIRDA)に代表される律動性活動がある。かつては上部脳幹、間脳、視床正中部の病変による投射性リズムと考えられていた。近年は皮質および皮質下灰白質の病変が主な原因とされている。 周期性脳波パターン PLEDsは一側性に出現する高振幅複合波でありヘルペス脳炎や重篤な急性脳血管障害で認められる。広範な皮質興奮性の増大とそれに続く皮質下で発生する抑制が周期性パターンの原因とされている。皮質灰白質での機能異常による急激な神経発射が起こった後、長く持続する過分極が生じてニューロンが不応期に入り周期性が形成される。周期性のトリガーは皮質下と考えられている。バーストサプレッションは深麻酔時あるいは低酸素脳症や広範な頭部外傷でみられる。これは視床からの入力が皮質ニューロンの過分極により遮断されるが、内因性ペースメーカーにより視床皮質ニューロンが再活動して皮質活動が再開して周期的なパターンを呈すると考えられている。
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