基礎律動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/16 08:55 UTC 版)
ほぼ全般性、持続性に出現し、脳波の大部分を形成する特定の脳波活動を基礎律動(背景脳波)という。基礎律動は覚醒度、年齢、薬物によって変化し、基礎律動が異常を示す病態もある。基礎律動には周波数帯域ごとに以下のように名前が付けられており、それぞれ異なった生理学的な意義を有している(ギリシャ文字が周波数順になっていない点に留意が必要である)。 名称読み周波数帯域δ波 デルタ波 1-3Hz θ波 シータ波 4-7Hz α波 アルファ波 8-13Hz β波 ベータ波 14-Hz 一般に健常者では、安静・閉眼・覚醒状態では後頭部を中心にα波が多く出現する。また睡眠の深さ(睡眠段階)は脳波の周波数などに基づいて分類されている。健常成人の安静覚醒閉眼時では、後頭部優位に出現するα波が基礎律動となる。25~65歳の正常成人では9~11Hzのαが後頭部優位に出現し、開眼、光、音刺激などで抑制される。周波数の変動は1Hz以内である。 α波を基準としてそれよりも周波数の遅い波形を徐波、周波数の早い波形を速波という。振幅は正常人は20µV - 70µVであり、これを中等電位という。20µV以下で低電位、100µV以上で高電位ということがある。30mm/secで50µV/5mmで記録されることが多い。 覚醒度 意識障害の程度を調べるのに脳波が重要であることがある。また覚醒度自体が常に脳波に影響を与える。覚醒度が低下すると後頭部のα波の連続性が乏しくなり、その周波数も遅くなり、振幅が低下する。入眠期に徐波が出現した場合は覚醒度が高い時に出現する徐波に比べて病的な意義は少ない 年齢 出生から思春期の間は、脳波の基礎律動は概ね速波化していく。そして思春期から初老期まで基礎律動の周波数は殆ど変化がなく、初老期以降は概ね年齢とともに徐波化していく傾向がある。 薬物 フェニトイン、フェノバルビタール、ベンゾジアゼピン系の薬物により前頭部に速波が出現する。カルバマゼピンはθ帯域が混入する。フェノチアジン系は徐波と鋭波が混入する。
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