非可換の局所化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/02 17:14 UTC 版)
詳細は「環の局所化」を参照 環の局所化は、環に乗法逆元を機械的に添加する方法である。すなわち、環 R とその部分集合 S が与えられたとき、環 R′と R から R′への環準同型を構成して、S の準同型像が R′における単元(可逆元)のみからなるようにする。さらに、R′が「可能な限りで最良な」あるいは「最も一般な」ものとなるようにするということを考える(こういった状況はふつうは普遍性によって表されるべきものである)。環 R の部分集合 S による局所化は S−1R で表され、あるいは S が素イデアル p {\displaystyle {\mathfrak {p}}} の補集合であるときには R p {\displaystyle R_{\mathfrak {p}}} で表される。S−1R のことを RS と表すこともあるが、通常混乱の恐れはない。 非可換環の局所化はより難しく、単元を持つことが見込まれる集合 S の中にも局所化が存在しない場合がある。局所化の存在を保証する条件の一つにオアの条件(英語版) がある。 非可換環が局所化を持つ場合で、明らかに興味の対象となるのが、微分作用素の環の場合である。局所化によって、例えば、微分作用素 D の形式逆元 D−1 を解釈することができる微分方程式に対する D−1 の解釈はいろいろなやり方が様々な文脈で行われるが、局所化の方法による解釈は超局所解析 (microlocal analysis) と呼ばれる、いくつかの分野にわたる大きな数学的理論を形成している。接頭辞 micro- は特にフーリエ理論とも関連がある。
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