非可換または零因子を持つ環の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 00:42 UTC 版)
「平方根」の記事における「非可換または零因子を持つ環の場合」の解説
一般の環において、a の平方根 b を b2 = a のことと定めるならば、一般には平方根は符号を除いて一意とは限らない。 たとえば合同類環 Z/8Z を考えれば、この環において単位元 1 は相異なる四つの平方根を持つ(具体的には ±1, ±3)。他方、元 2 は平方根を持たない。詳細は平方剰余の項を参照されたい。 他の例として四元数体 H において、−1 は ±i, ±j, ±k を含む無数の平方根を持つ。実は −1 の平方根の全体はちょうど集合 { a i + b j + c k ∣ a 2 + b 2 + c 2 = 1 } {\displaystyle \{ai+bj+ck\mid a^{2}+b^{2}+c^{2}=1\}} であり、したがって各平方根は絶対値が等しく、この集合は三次元空間内の二次元単位球面を描く。四元数#−1 の平方根も参照。 零元 0 の平方根は、定義により、0 自身または零因子である。四元数体のような可除環では零因子が存在しないから、一般に 0 の平方根は 0 のみである。しかし、零因子が存在しうる一般の環では必ずしもそうでないことは、反例として任意の自然数 n に対するZ/n2Z を考えればよい(この場合、n は零因子であり、実際に n2 = 0 を満たす)。
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