需要の終焉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/16 04:17 UTC 版)
マジックアイは1960年代(昭和30年代)中盤のトランジスタラジオの登場により、真空管ラジオの需要が衰退し始めると、それに歩調を合わせるように生産が縮小していった。米国では1980年に真空管ラジオの市販が終了すると、それ以降はマジックアイを採用する機器はほぼ無くなった。なお、米国では商用電源が200Vであった事もマジックアイの終焉の要因ともなった。多くのマジックアイは動作電圧が100Vであった為、半導体素子や光電管の普及と共に同調指示の代替が行えるようになると、100Vへの降圧回路を用いてまでマジックアイを採用する意味が無くなったのである。 また、マジックアイは内部の蛍光塗料が使用と共に劣化する為、一般的な真空管の動作寿命(約1000時間)よりも遙かに短い時間(概ね数百時間以下とされる)で寿命を迎える。正確には、物理的に破損しない限り真空管としての動作はするのであるが、発光が極めて弱くなってしまい、暗闇の中でしか発光の確認が出来なくなるといった不具合が生じる為、真空管ラジオの全盛期にはマジックアイは「発光が暗くなったら交換する」定期交換部品という扱いであった。 しかし、真空管の需要の衰退と共にマジックアイの生産を手掛けるメーカーも減少していき、2015年現在では新品の入手は市場在庫を残すのみとなり、年代が下る毎にその市場価格は高騰の一途を辿っている。こうした中、発光ダイオードを用いて擬似的にマジックアイの動作を再現する代替品の開発が電子工作愛好者の間で行われており、6E5型等のごく一般的なマジックアイについては代替品の利用が行えるようになっている。
※この「需要の終焉」の解説は、「マジックアイ」の解説の一部です。
「需要の終焉」を含む「マジックアイ」の記事については、「マジックアイ」の概要を参照ください。
- 需要の終焉のページへのリンク