隔絶性の利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/28 16:59 UTC 版)
本土から隔絶された島の立地条件は、避難所としての利用につながっている。イングランドのリンディスファーン島やフランスのモンサンミッシェル島、タンザニアのペンバ島などの宗教施設の立地は、宗教的対立からの逃避や静謐を求めての動機によっている。島々が流刑地や監獄として、また精神病院やハンセン病患者の収容所として用いられてきた歴史も古い。ナポレオンの流刑地であるセントヘレナ島や米国の監獄が置かれたアルカトラズ島、南アフリカ共和国のロベン島などが殊に有名であり、オーストラリアも18世紀には流刑地であった。日本でも佐渡島、隠岐諸島、伊豆七島などをはじめとして島への遠流の例は枚挙にいとまがない。四阪島、直島の銅精錬所や大久野島の毒ガス製造所、スリーマイル島の原子力発電所などの迷惑施設の立地も隔絶性の利用例の一つである。部分的核実験禁止条約調印以前には、ビキニ環礁やムルロア環礁、アムチトカ島などの太平洋の島々がアメリカ・イギリス・フランスの核実験の舞台として用いられたし、ソ連もノヴァヤゼムリャ島など北極海の島で核実験を行っている。 ウォレスやダーウィンが「実験室」として島の生態系を捉えてきたように、島は科学の世界でも大きな役割を担ってきた。薬学研究においても遺伝的多様性の低い島の条件は重要な意味を持つ。ティコ・ブラーエがウラニボリを設置したヴェン島のように、大気汚染が少ない、特異な位置にある、監視が容易であるといった様々な理由から、天文台やロケットの打ち上げセンターの立地としても歴史的に用いられてきた。
※この「隔絶性の利用」の解説は、「島嶼性」の解説の一部です。
「隔絶性の利用」を含む「島嶼性」の記事については、「島嶼性」の概要を参照ください。
- 隔絶性の利用のページへのリンク