闇をさまようものとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 闇をさまようものの意味・解説 

闇をさまようもの

作者H.P.ラヴクラフト

収載図書クトゥルー 7
出版社青心社
刊行年月1989.10
シリーズ名暗黒神話大系シリーズ


闇をさまようもの

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/26 13:42 UTC 版)

闇をさまようもの
The Haunter of the Dark
訳題 「闇の跳梁者」など
作者 ハワード・フィリップス・ラヴクラフト
アメリカ合衆国
言語 英語
ジャンル ホラークトゥルフ神話
初出情報
初出ウィアード・テイルズ』1936年12月号
ウィキポータル 文学 ポータル 書物
テンプレートを表示

闇をさまようもの』(やみをさまようもの、The Haunter of the Dark)は、ハワード・フィリップ・ラヴクラフトの小説。邦訳題は複数ある。1935年11月に執筆され、パルプ雑誌『ウィアード・テイルズ』1936年12月号に掲載された。本作は、クトゥルフ神話の一つに位置づけられる作品であり、作者が生前に発表した最後の作品となっている。

クトゥルフ神話内においては「ナイアーラトテップ物語」の代表作である[1][2]

作品内容

廃教会・闇をさまようもの・輝くトラペゾヘドロン

あらすじ

1935年、物語は若い作家の死体が発見された場面から始まる。この死体の遺留品を調査官が調べるという体裁で物語を三人称視点で描く。

オカルトに興味を持つ若い怪奇作家ロバート・ブレイクは、小説や絵画のインスピレーションのために危険を冒すことも辞さなかった。ブレイクは、移住したロードアイランド州プロビデンスでフェデラル・ヒルの廃教会堂でかつて活動していた「星の知恵」という宗教団体に強い関心を抱く。ブレイクは、忍び込んだ廃教会堂で1893年に姿を消した記者、エドウィン・M・リリブリッジ(Edwin M. Lillibridge)の骨を発見したと手記に書き残している。しかし廃教会堂を調べてから1週間後、ブレイクも何者かの恐怖を訴えながら怪死してしまう。

落雷による感電死とおぼしいが、部屋は密室であり、窓ガラスは全く割れていなかった。ブレイクは死の寸前まで日記に恐怖を書き綴り続けており、さまざまな憶測を呼ぶこととなった。だが証拠となりそうな箱を医師が海に沈めてしまい、真相を探ることは不可能となる。

登場人物

  • ロバート・ハリスン・ブレイク - 怪奇作家。ミルウォーキーからプロビデンスに移住してきた。
  • イノック・ボウアン教授 - 1840年代にエジプトでファラオの墓所を発掘調査し、翌年にプロヴィデンスで新宗教「星の知恵派」を設立した。
  • エドウィン・M・リリブリッジ - 新聞記者。1893年から行方不明。
  • デクスター医師 - ブレイクが死んでいた部屋にあった奇妙な箱を持ち出し、海に沈めた。
  • ネフレン=カ - 古代エジプトのファラオ。「輝くトラペゾヘドロン」を所持していた。
  • ナイアルラトホテップ - 闇をさまようもの。

解説

本作は、ロバート・ブロックの小説『星から訪れたもの』の続編として書かれた。ブロックは、第3部作として『尖塔の影』を1950年に書いている。主人公の名前、ロバート・ブレイク(Robert Blake)もロバート・ブロック(Robert Bloch)の綴りをもじったもので本作で初登場した。またブロック以外の人物もモデルにしておりクラーク・アシュトン・スミスとラヴクラフト自身を想起させる特徴を与えた。

  • 星から訪れたもの - ブロック作、1935年。「妖蛆の秘密」の話。
  • 闇をさまようもの - ラヴクラフト作、1936年。ナイアーラトテップと輝くトラペゾヘドロンの話。
  • 尖塔の影 - ブロック作、1950年。ナイアーラトテップの話。

ブロックは、『星から訪れたもの』においてラヴクラフトをモデルにした作家の登場人物を殺害する許可を求めた。そこでラヴクラフトは、若い友人に殺害許可証を与えたという。本作は、その経緯を受けて今度は、ブロックをモデルにした登場人物のブレイクをラヴクラフトが殺害するという内容が描かれた。

東雅夫は「ラヴクラフトは、『星から訪れたもの』に応える形で、ブロックならぬブレイクを、ナイアルラトホテップの生贄に供してみせた。HPL最後の神話作品にまつわる右のような成立事情は、その後の神話大系の運命を暗示するかのようでもある。」と解説する[3]

ニャルラトホテプに関連する星の智慧派、輝くトラペゾヘドロンが登場する。星の智慧派の廃教会には禁断の書物が何冊も収蔵されており、長らく放置されていたが、事件後にある人物により回収されていたことが続編で言及されている。

ロバート・ブレイクの著作5作『地を穿つもの』『窖に通じる階段』『シャッガイ』『ナスの谷にて』『星から来て饗宴に列するもの』は、後続作家たちによって同タイトルを冠したクトゥルフ神話短編が描かれている。5作いずれもスミスが創始したハイパーボリア神話に位置付けられており、実書籍「エイボンの書」に収録されている。

関連作品

  • アウトサイダー - ラヴクラフトが1921年に執筆した作品。ネフレン=カへの言及がある。
  • 暗黒のファラオの神殿 - ロバート・ブロックによる作品。輝くトラペゾヘドロンが発掘されたという、ネフレン=カの墓所が描かれる。

収録

脚注

【凡例】

  • 全集:創元推理文庫『ラヴクラフト全集』、全7巻+別巻上下
  • クト:青心社文庫『暗黒神話大系クトゥルー』、全13巻
  • 真ク:国書刊行会『真ク・リトル・リトル神話大系』、全10巻
  • 新ク:国書刊行会『新編真ク・リトル・リトル神話大系』、全7巻
  • 定本:国書刊行会『定本ラヴクラフト全集』、全10巻
  • 新潮:新潮文庫『クトゥルー神話傑作選』、2022年既刊3巻
  • 新訳:星海社FICTIONS『新訳クトゥルー神話コレクション』、2020年既刊5巻
  • 事典四:東雅夫『クトゥルー神話事典』(第四版、2013年、学研)

注釈

出典

  1. ^ 事典四「クトゥルー神話の歴史●クトゥルー神話の誕生」、14ページ。
  2. ^ 新紀元社『クトゥルフ神話ガイドブック』30ページ。
  3. ^ 事典四、345ページ。

闇をさまようもの

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/16 23:24 UTC 版)

尖塔の影」の記事における「闇をさまようもの」の解説

燃える三眼をもつ魔物新興宗教「星の智慧派」が崇拝していた存在。その正体は、外の者らの使者ナイアーラトテップ

※この「闇をさまようもの」の解説は、「尖塔の影」の解説の一部です。
「闇をさまようもの」を含む「尖塔の影」の記事については、「尖塔の影」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「闇をさまようもの」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「闇をさまようもの」の関連用語

闇をさまようもののお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



闇をさまようもののページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの闇をさまようもの (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの尖塔の影 (改訂履歴)、ナイアーラトテップ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS