鋳潰し・損壊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/23 15:03 UTC 版)
硬貨は、素材となる金属価格の高騰やインフレーションなどを原因とする貨幣価値の下落により、金属資源として額面以上の価値を持つに至り、そのため鋳潰されてしまうこともある。鋳潰しに対しては、法的対処の他、硬貨の変更の対策が取られる。 日本においては、例えば明治期に貿易銀が鋳潰された事例や、1906年の銀価格上昇の際に補助貨幣としての銀貨が鋳潰される恐れがあったため約25%減量した事例がある。1948年から発行された一円黄銅貨も、戦後のインフレの中で素材価格が額面を越えるため、小額通貨の整理及び支払金の端数計算に関する法律で1953年を限りに廃貨とし、アルミニウム貨に置き換えた。現在も通用する百円銀貨は、2008年頃の銀相場1 gあたり50円を参考にすると含有する銀の価値は144円となり、銀素材としての価値が額面を上回る。 日本の法律では、硬貨を損傷・鋳潰しすると、貨幣損傷等取締法により1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処せられる。資源として転用するなどの目的の他、握力の誇示のために硬貨を折り曲げる、ペンダントにしたりマジックの為に穴を開ける行為も罪に問われる他、火葬時に冥銭として遺体に硬貨を握らせることも禁じられる。ただしここで言う貨幣に、日本銀行券は含まない。また、世界のコインを損壊する事は国内では罪に問われない。 尚、世界では硬貨の加工を制限していない国家もあり、例えばアメリカ合衆国では1セント硬貨等を加工するスーベニアメダルマシンが存在する。
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