銃用雷管の良否と銃との相性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/06 14:41 UTC 版)
「銃用雷管」の記事における「銃用雷管の良否と銃との相性」の解説
銃用雷管は主に黒色火薬の時代に設計されたものと、無煙火薬の時代に設計されたものに大別でき、両者で火薬の組成が若干異なる。使用火薬と雷管の組み合わせにより、発射初速にも若干の差違が生じる為、黒色火薬でリロードを行う場合には可能であれば黒色火薬向けに特化したブランドの雷管を使用する事が望ましい。 また、銃用雷管の品質は各国の製造技術により大きな差違が存在する。旧共産圏の雷管や、発展途上国などからの払い下げ軍用実包(ミリタリーアモ)の雷管は、低品質で発火感度が低いため、撃鉄ばねの圧力が低い銃で使用すると発火不良を起こす可能性がある。逆に、旧共産圏の銃器は品質の低い雷管を確実に発火する必要があるため、民生品でも西側諸国の銃器より撃鉄ばねが強力に作られている物が多い。 基本的に、実包側には「どんなに撃鉄ばねが弱い銃でも確実に発火する事」が求められ、銃側には「どんなに低品質な雷管でも確実に発火する事」が求められる。そのため、特に西側諸国の軍用品では銃用雷管・銃本体にも厳しい品質規格が定められている。 これに対して民間品では軍用品程厳しい品質規格がなく、銃と雷管の組み合わせによっては撃鉄ばねと雷管品質のミスマッチにより、発火不良や雷管突破などのトラブルが発生する可能性が大きくなる。そこで、リロードの際には雷管の発火跡をよく確認し、特に雷管突破が発生している場合には銃の機関部調整や雷管ブランドの変更などの対策を行う事が望ましい。 なお、ガス圧作動方式の項に詳しいが、西側諸国と旧共産圏諸国の雷管品質の差は、製造技術だけでなく、雷管に用いられる火薬に対する考え方の差も大きな要因である。西側諸国の場合には、銃の寿命と動作の安定性を確保する方向性を指向した。そのため、銃用雷管について、強腐食性のガスを発生させガス圧作動方式の銃において動作不良と火器のガスピストン寿命の低下の大きな一因となる雷酸水銀の使用は嫌われ、1960年代までにはほぼ全て低腐食性のものに置き換えられた。他方、旧共産圏諸国では、盟主の旧ソ連領を始めとした零下数十度の低温のような厳しい環境下であっても確実に雷管を発火させることが重視されたため、雷酸水銀を用いる方式の銃用雷管が使われ続けられた。その代わりに銃内部の各部品にはクロムメッキが施され、銃主要部はブロック構造として簡易交換が可能な構造を採用することで腐食ガスへの対応を行ったのである。
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