銃用薬莢
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 05:30 UTC 版)
現代の銃器は、雷管・発射薬・弾頭がセットになった薬莢を用いる製品が大半を占めている。 薬莢式の銃を発射すると、発射ガスの圧力で薬莢が膨らむ。膨らむことで薬室内部に張り付き、発射ガスを漏らさないよう密封する。これにより、発生したガスを有効に利用することができる。 膨張して薬室に張りついた薬莢を容易に取り出せるように、薬莢底部にはリム(輪状の張り出し)が成形されており、遊底に取り付けられた抽筒子(エキストラクター)と噛み合うようになっている。 一般的に利用されている薬莢には、発射薬に着火するための雷管の位置や種類によってバリエーションがある。(銃用雷管#種類も参照) かつては、針打ち式(ニードルファイア系)、カニ目打ち式(ピンファイア系)、電気発火式(航空機関砲用など)といった多種多様な発火方式の薬莢が存在したが、現在一般的に利用されているのは、金属薬莢の底部中心位置に雷管を挿入し、これを叩いて発火させる方式のセンターファイア方式と、薬莢後端外周のリム部を中空構造として、その内部に雷汞などの発火薬を詰め、リムを叩いて発火させる方式のリムファイア方式である。 リムファイア方式は、リム内の発火薬を均一に詰めることがいまだに難しく、センターファイア方式に比べて不発が出る確率が格段に高いことや、雷管が一体になっているために火薬・弾頭・雷管を詰めかえて再利用すること(リロード)ができないなどの欠点がある。しかし、単純な構造で大量生産に向いており価格も非常に安いため、民生用途ではセンターファイア方式より広く普及している。 また、センターファイア方式の薬莢には、挿入される雷管のタイプによってベルダン式とボクサー式の2種類が存在し、欧州大陸の軍ではベルダン式が、英米系の軍ではボクサー式が使われており、日本では旧軍がベルダン式、自衛隊がボクサー式を使用している。
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