重要性と解釈
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/28 15:36 UTC 版)
可採年数は石油とガスの産業で使われる指標の中でも、最も多く引用されている重要な指標である。企業にとっては、10年間は企業価値をある程度一定に保ちたいと考えるのであれば、経営戦略的に重要な意味を持つ。可採年数があまりにも短いときには、その資源に頼っている企業は存続が危ぶまれる。国や地域にとって、資源の可採年数があまりにも短いときには、その資源に頼りすぎるのが危険であることの警告となる。世界的には、石油の可採年数は北海の8年から中東の80年までばらついている。前者は生産量が急激に減少している典型的な地域であり、後者は当面の間は石油を生産し続ける地域である。 可採年数は一般の人たちに誤解されやすい数字である。ある地域の可採年数が40年であるからといって、その地域で40年間生産を続け、突然資源がなくなって生産量がゼロとなるこというようなことにはならない。一般的には、資源の生産量は増加を続け、最大生産量に到達してから一定の生産量を保ち、それから生産量が減少する段階に入る。理論的には、ロジスティック関数の微分であるハバートモデル (Hubbert curve) によって、より正確に表現される。 可採年数は年間生産量に反比例し、年間生産量は地質条件に依存する。たとえば、亀裂が多くて透水性が高い水押し型の油田は、年間生産量が多くなるため、可採年数が6年程度しかないかもしれない。その逆に、透水性が低い油田では、可採年数は50年から100年にもなる。政府の政策によって生産量を制限して可採年数を増やし、資源の寿命を延ばすこともある。一方で、企業が油層に水やガスを注入することで生産量を増やし、可採年数を減らすこともある。すなわち、生産量を増やすことは、油田の寿命を短くすることになる。可採年数は資源開発の段階に大きく依存する。通常は、開発初期には可採年数は長く、最大生産量に達するまでの間、可採年数は急激に減少する。生産量が減少すると、可採年数はしばらくの間減少し続けるか一定になり、生産量が低下すると可採年数が増加することもある。 新しい発見や、技術の変化、経済の変化によって、可採年数は短い間に大きく変化することがある。また、評価を誤ることにより、不正確かつ誤解を生む結果をもたらすこともある。埋蔵量の予測は、楽観的であるか悲観的であるかによっても影響を受ける。また、埋蔵量は「経済的に」「現在の条件で」掘り出すことのできる資源である。埋蔵量は政策の変化や計算のごまかしによっても変化する。資源消費量は一定ではなく、多くの場合は人口増加や経済的に豊かになることで増加する。可採年数の計算における分子と分母がいずれも一定ではないということは、資源の残余年数を過大評価あるいは過小評価していることを意味している。
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