重要性と探査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/15 07:34 UTC 版)
地球のトロヤ群に所属する天体には、地球から見て月より何十倍も遠いにも関わらず、地球からはより容易にかつ安価に到達できる計算となる。このため、地球のトロヤ群に属する小惑星は、将来的に地球表面にはほとんど存在しない元素の供給源として有用になる可能性がある。 地球においては、イリジウムのような親鉄性元素は、惑星の形成直後にそのほとんどが核に沈み込んでしまったため、地表においては見つけるのが難しい。これに対して小さな小惑星では、全体の組成が地球と似ていても熱を早期に失い固化していると考えられるため、これらの元素の有用な供給源になり得る。また、小惑星の重力が弱いことも重い元素と軽い元素の分化を防ぐこととなる。2010 TK7程度の大きさの天体の質量では、その重力は地球の0.005%程度である。 地球のトロヤ群小惑星の地上からの光学観測は太陽光が強すぎて困難が伴う。このため、アメリカ航空宇宙局 (NASA) は、小惑星 (101955) ベンヌ に向けて航行中だった宇宙探査機オサイリス・レックスの追加ミッションとして地球のL4点付近の観測を試みたが、新たなトロヤ群小惑星は発見できなかった。その後、小惑星 (162173) リュウグウ に向けて航行中だった宇宙航空研究開発機構 (JAXA) のはやぶさ2によって地球のL5点付近の観測も行われた。はやぶさ2から30万 km以内に直径 100 m 程度の小惑星が存在していれば撮影可能であるとされていたが、こちらもそのような天体の発見には至らなかった。
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