近鉄15200系電車とは? わかりやすく解説

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近鉄15200系電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/20 13:49 UTC 版)

15200系「あおぞらII」

近鉄15200系電車(きんてつ15200けいでんしゃ)は、近畿日本鉄道2005年に導入した団体用車両の形式である。特急形車両であった12200系新スナックカー」からの転用改造車で、従来の団体車18200系18400系の後継車として「あおぞらII」の愛称が引き継がれた。

概要

12200系と並ぶ15200系

特急車から改造された団体専用列車として使われていた18200系「あおぞらII」が改造から15年以上が経過し、車両の老朽化が進行したことや、120 km/h運転対応ではないこと、中型車体のために定員が少なく、リクライニングシートでないために居住性にも難があることなどから、2005年に12200系を改造・改番して2代目「あおぞらII」として18200系を代替することとなった。

編成構成

電算記号はPNを使用する[1]

編成構成
編成方向
15201F - 15202F
PN01 - PN02
15205F - 15206F
PN05 - PN06
4両固定編成
形式 モ15200形 (Mc) サ15150形 (T) モ15250形 (M) ク15100形 (Tc)
車両写真
搭載機器 ◇,CON,◇ MG, CP ◇,CON,◇ MG, CP
自重 40.0 t 35.0 t 40.0 t 35.0 t
定員 68 64 68 56
車内設備 洗面室・トイレ 洗面室・トイレ
15203F
PN03
2両固定編成
形式 モ15200形 (Mc) ク15100形 (Tc)  
定員 64[注 1] 56
車内設備 車内販売準備室 洗面室・トイレ
15204F
PN04
15207F - 15210F
PN07 - PN10
2両固定編成
形式 モ15200形 (Mc) ク15100形 (Tc)  
定員 68 56
車内設備 洗面室・トイレ

編成別概説

2005年・2006年改造編成

運転室直後に車内販売準備室があるPN03編成(元スナックコーナー設置車)
15201F車内
先頭車と中間車(手前)のインテリアが異なる

18200系を置き換えるため、2005年から2006年にかけて4両編成2本と2両編成1本が改造された。車体の塗装を18200系同様の白とスカイブルーのツートンカラーに改め、車内外も補修を行っている。方向幕装置を撤去、車体に表示している形式番号の書体もヘルベチカに変更した。愛称は既存車と同様の「あおぞらII」とされた[1]。走行機器類は12200系時代から大きな変更はない。

4両編成の15201Fと15202Fは種車が先頭車と中間車で異なっていたために、内装も両端2両の先頭車(ピンク系座席のみ取り替えた簡易更新車)と2両の中間車(間接照明付きのフル内装更新車)で異なる。中間車のLED式サインパネルは機能が停止され、従来の札差し込み式の号車表示とされ、そのための枠が妻壁ドア上部に取り付けられた。2両編成車の15203Fは種車が元々2両編成の簡易更新車のため、特段の改造は行われていない。

18200系からの変更点では、運転速度が110 km/hから120 km/hに向上、座席定員も18200系「あおぞらII」(18400系も含めて)は全車両合計で692名だったが、15200系「新あおぞらII」では756名に増加した。車内設備も洋式トイレやリクライニングシート装備となり、全車禁煙とする以外は現行の特急車に準じたものとなっている。

新旧対照表
編成記号 新番号 旧番号 旧編成記号
PN01 モ15201 モ12220 N20
サ15151 サ12141 S41
モ15251 モ12041
ク15101 ク12320 N20
PN02 モ15202 モ12230 N30
サ15152 サ12132 S32
モ15252 モ12032
ク15102 ク12330 N30
PN03 モ15203 モ12217 N17
ク15103 ク12317

2013年改造編成

復刻塗装のPN04編成

18400系18409Fの廃車代替として、12200系12231F2両編成を改装・改番した15204Fが2013年6月に導入された。

この編成は20100系「あおぞら号」の塗装であるクリーム地に赤をまとって竣工した[2][3]。方向幕は15400系と同様に前面幕(ヘッドマークへと改造)・側面幕共に残され、「あおぞらII」の表示が追加された。種車が2両編成の簡易更新車のため、内装の特段の改造は行われていない。

新旧対照表
編成記号 新番号 旧番号 旧編成記号
PN04 モ15204 モ12231 N31
ク15104 ク12331

2014年改造編成

2014年2月に15201Fの廃車代替として、12200系12243F4両編成を塗装変更・改番した15205F[4][5]、3月に15202Fの廃車代替として12200系12248F4両編成を塗装変更・改番した15206F[6]が導入された。

改造内容は15204Fとほぼ同一であるが[4][5]、更新車の4両編成が種車とされた[4]。本系列の4両編成では初の雨樋・転落防止幌取り付け編成であり、編成全てが間接照明付きのフル内装更新車となっている。方向幕は残され[5]、代わりに運転士側の車体前面窓下にあった「あおぞらII」ロゴマークが廃止された(ヘッドマークがその役割を担うため)。

新旧対照表
編成記号 新番号 旧番号 旧編成記号
PN05 モ15205 モ12243 NS43
サ15155 サ12143
モ15255 モ12043
ク15105 ク12343
PN06 モ15206 モ12248 NS48
サ15156 サ12148
モ15256 モ12048
ク15106 ク12348

2021年改造編成

2021年1月から5月にかけて15203F - 15206Fの廃車代替として余剰車2両編成4本を塗装変更・改番した15207F - 15210が導入された。この置き換えの際、15209F・15210Fの導入が遅れたため、一時的に団体専用列車不足となり、12249Fが塗装変更・改番を省略したまま「あおぞらII」に格下げされたが、2023年2月に廃車された。

新旧対照表
編成記号 新番号 旧番号 旧編成記号
PN07 モ15207 モ12240 NS40
ク15107 ク12340
PN08 モ15208 モ12250 NS50
ク15108 ク12350
PN09 モ15209 モ12255 N55
ク15109 ク12355
PN10 モ15210 モ12254 N54
ク15110 ク12354

運用

乗客の数に応じて、特急車時代と同様に、2 - 8両編成の範囲で運用される。輸送需要やイベント内容によっては他車と連結される場合もあり、2012年には15400系「かぎろひ」と併結した伊勢方面への団体臨時列車[7]、2013年には20000系「楽」との併結による車庫線めぐりのツアー列車が運転されている[8]

近畿地方3府県(大阪府兵庫県奈良県)の小学校における修学旅行などでの利用については、公益財団法人全国修学旅行研究協会大阪事務局に置かれる「あおぞら号近畿地区運営協議会」が調整を行っている[9]。特急車両での団体利用には特急料金が必要であるが、「あおぞらII」は不要である[10]

大阪線 - 名古屋線相互間を往来する場合、通常は中川短路線を通らず伊勢中川駅を経由していた。このため名古屋線内では通常の特急と逆向きになっていた[11]。2022年現在は通常の特急車と同じ向きで運用されている。

かつて在籍していた15201Fは高安検車区、15202F・15204F・15206Fは明星検車区、15203F・15205Fが東花園検車区に配置されていた[12][13]。従来、大阪地区の運用編成は高安検車区の配置とされていたが、2014年9月に東花園検車区の配置に変更された[14]

廃車

2014年2月から3月にかけて15205F・15206Fが導入されたことにより、5月に15201F・15202F[14]、2021年1月から5月にかけて15207F - 15210Fが導入されたことにより、15203F - 15206Fが除籍・廃車解体された。

編成一覧

  出場 転落防止幌 方向幕 廃車
15201F(PN01) 2005年12月[15][16] 未設置 撤去 2014年5月[14]
15202F(PN02) 2005年12月[15][16] 未設置 撤去 2014年5月[14]
15203F(PN03) 2006年1月[15][16] 設置済 撤去 2021年2月
15204F(PN04) 2013年6月[17] 設置済 継続使用 2021年2月
15205F(PN05) 2014年2月[17] 設置済 継続使用 2021年2月
15206F(PN06) 2014年3月[17] 設置済 継続使用 2021年2月
15207F(PN07) 2021年1月 設置済 継続使用 在籍中
15208F(PN08) 2021年1月 設置済 継続使用 在籍中
15209F(PN09) 2021年3月 設置済 継続使用 在籍中
15210F(PN10) 2021年5月 設置済 継続使用 在籍中

脚注

注釈

  1. ^ 元12217F(スナックコーナーを車内販売準備室化した車両)のため、定員は64名。

出典

  1. ^ a b 『鉄道ファン』(第538号)2006年2月号、114 - 115頁
  2. ^ 初代"あおぞら号"復刻塗装車登場。(ホビダス編集長敬白・インターネットアーカイブ)。
  3. ^ 『鉄道ファン』(第629号)2013年9月号、64 - 65頁
  4. ^ a b c 近鉄15200系「あおぞらII」PN05編成が出場 交友社鉄道ファン』railf.jp 2014年2月18日
  5. ^ a b c 【近鉄】15200系"あおぞらII"に新編成登場 (RMニュース) ネコ・パブリッシング 2014年2月18日
  6. ^ 近鉄15200系「あおぞらII」PN06編成が出場試運転 交友社鉄道ファン』railf.jp 2014年3月11日
  7. ^ 「かぎろひ」+「あおぞらII」併結の団体臨時列車運転 交友社鉄道ファン』railf.jp 2012年10月16日
  8. ^ 近鉄『「楽」&「あおぞらII」でめぐる車庫線めぐり』ツアー開催 交友社鉄道ファン』railf.jp 2013年7月22日
  9. ^ あおぞら号近畿地区運営協議会”. 公益財団法人全国修学旅行研究協会大阪事務局. 2020年4月12日閲覧。
  10. ^ あおぞら号近畿地区運営協議会規約” (pdf). 公益財団法人全国修学旅行研究協会大阪事務局 あおぞら号近畿地区運営協議会. 2019年1月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月12日閲覧。
  11. ^ 『鉄道ピクトリアル』(第727号)2003年1月臨時増刊号、246頁
  12. ^ 交友社鉄道ファン』2019年8月号 Vol.59/通巻700号 付録小冊子「大手私鉄車両ファイル2019 車両配置表」(当文献にページ番号の記載無し)
  13. ^ 鉄道ファン』2014年8月号 交友社 「大手私鉄車両ファイル2014 車両配置表」
  14. ^ a b c d 鉄道ファン』2015年8月号 交友社 「大手私鉄車両ファイル2015 車両データバンク」
  15. ^ a b c 鉄道ファン』2015年1月号 {第645号} p.38 - p43
  16. ^ a b c 近鉄時刻表2006年号 The Densha 27「団体列車」p.36・p.37
  17. ^ a b c 鉄道ファン』2014年8月号 交友社 「大手私鉄車両ファイル2014 車両データバンク」





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