近年の浴衣事情
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/06 05:42 UTC 版)
浴衣はもともと白地の木綿を藍で染抜くのが原則で柄も大胆なものが多かったが(右図参照)近年では洋服のようなデザインが好まれつつあり、華やかな色合いと柄のものなども多くなっている。生地も木綿ではなく、麻を混ぜたものやポリエステルなどを用いたものも多い。反物から仕立てる場合は手縫いが一般的であるが、大量生産の既製品の多くはミシン縫いのものが主流である。そうしたものは衿の作りや縫いしろ、おくみなどが簡略化されており、一般的な和服の畳み方(本畳み)ではうまく畳めないことがある。 本来は素肌に着るものであるが、近年は外出着として着用されることも多くなり、肌着を着用することが多くなった。この場合は、浴衣向きに軽量化されたり吸汗性に優れた肌襦袢や、和装用の簡易スリップなどの肌着を着用することが多い。 女性の帯結びは男性より複雑であるため、近年は自分で帯を結べない者も多い。そのため、「作り帯」(すでに帯結びが仕上がった状態で固定されたもの)も多用される。 和洋折衷のデザインのものも多く販売されている。生地の柄や衿の合わせは従来の浴衣であっても、本来は浴衣には用いない伊達衿をあわせたり、伊達衿代わりにフリルやレースをあしらったもの、また、ミニスカートのような膝上丈のもの、パニエを使用するフレアスカートのようなものなど、固定観念を打ち破った個性的なデザインのものも登場し、特に若い世代に支持されている。また、通常の形であっても、一枚仕立てではなく上下に分かれた二部式のものも、着崩れしにくいことから人気である。さまざまな帯締めや帯留めを自由に用いたり、帯にリボンやビーズで装飾を施したものなど、多様なバリエーションが見られる。 男性では、薄手のシャツやカットソー、帽子やエンジニアブーツなどを合わせるなど、現代風アレンジを楽しむ者も増えている。 現代の生活では下駄を履き慣れないため、転んで怪我をする場合もある。さらに、現代では地面のほとんどが舗装されているため、下駄の音が響いて周囲の迷惑になることがある。このため、洋服用のサンダルなどを合わせる場合も多い。また、本来浴衣は足袋をはかずに素足で着るものであるが、鼻緒ズレなどを防ぐため、薄手の足袋をはく者もいる。
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