辞書での扱い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 14:41 UTC 版)
規格制定以降、辞書編纂の方針としてJIS基本漢字を全掲載することが前提となった字書類が出版されている。JIS基本漢字に収録された幽霊文字については、過去の出典を参照することができないため、その取り扱いは字書や個別の文字によって以下のように異なった。 読みを便宜的に割り当てる JIS基本漢字を実装した情報機器では、幽霊文字といえども実装されている以上は変換してその文字が出てこないというのは具合が悪く、便宜的に形声文字として解釈した「音読み」を割り当てることがある。これに倣い、辞書でもこれらの便宜的な読みを掲載するものもある(彁=カ・セイ、椦=ケンなど)。笹原宏之は、日本電子工業振興協会による調査報告(1982年)や、NEC(1982年)・日本IBM(1983年)の発行資料に基づいてこれらの読みが与えられた可能性を指摘している。 似た文字の異体字とする 「駲」を「馴」の異体字、「軅」を「軈」の異体字とするものがある。しかし、いずれも典拠を示したものがない。 「妛」は大漢和辞典・康熙字典に非常に似た文字「妛」(上部の「山」が「屮」となるもの)が収録されており、その異体字とするものがあった。これはJIS X 0208:1997での調査でも典拠つきで暗合例が紹介されている。また、Unicodeでもこれら2文字は同一コードポイントに統合されている(#幽霊文字が残されている理由を参照)。 暗合した別の文字として解説する 「槞」を「櫳」の異体字、「鵈」を「とび」の意の国字として解説するものがある。これらはJIS X 0208:1997での調査でも典拠つきで暗合例が紹介されているものである。規格の収録意図とは異なる可能性が高いが、このような扱いは幽霊文字に限らず、収録文字の解説に汎用性を持たせるために行われる。 音義未詳字として解説する 読みや意義が不明であることをありのままに記述する。 前述の調査結果が判明してからは、その内容を採るものが一般的である。『大漢和辞典』は2000年に補巻を、角川『新字源』は2017年に改訂新版を刊行しており、いずれも典拠の判明した文字の一部を含めて収録している。
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