軌道要素の概要
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/25 02:43 UTC 版)
8号は複数の天体を周回する史上初の有人宇宙船であるため、その軌道要素は月遷移軌道への投入操作を境にして二つの側面を持つ。 アポロの月飛行は、まず地球上空 100海里 (185km) を周回する待機軌道から始まる。8号の待機軌道は遠地点 99.99海里 (185.18km)、近地点 99.57海里 (184.40km)、赤道に対する軌道傾斜角 32.51°、地球周回時間 88.19分であった。なお、2時間44分30秒の軌道待機中にロケットの中に余っていた推進剤を投棄したことにより、その反動で遠地点は 6.4海里 (11.9km) 上昇した。 その後第三段ロケットS-IVBを 318秒間噴射することにより、63,531ポンド (28,817kg) の宇宙船の速度を軌道周回速度の秒速 7.793kmから 10.822kmにまで上昇させ、月遷移軌道に投入した。なおこれは、人類がそれまで達成した地球に対する相対速度としては史上最速のものであった。またこれは地球脱出速度の秒速 11.200kmよりはわずかに遅いものであったが、8号の地球周回軌道を楕円軌道に引き伸ばし、宇宙船を月の重力圏にとらえさせるには十分なものだった。 アポロ計画における通常の月周回飛行での月面からの高度は 60海里 (110km) と設定されていた。8号の場合は近月点 60海里 (111.1km)、遠月点 168.5海里 (312.1km)、月の赤道に対する傾斜角は 12°であった。その後この軌道は遠月点 60.7海里 (112.4km)、近月点 59.7海里 (110.6km)、周回時間128.7分に修正された。月の質量の偏り (mass concentrations, "masscons") が軌道に与えた影響は、当初予想されていたものよりも大きいことが分かった。20時間にわたる飛行の間に、軌道は遠月点 63.6海里 (117.8km)、近月点 58.6海里 (108.5km) に摂動した。 8号は地球から最大で203,752海里 (234,474マイル、377,349km) 離れた。
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