車載以外の全ての民生用SoCから撤退(2013年)
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「ルネサスエレクトロニクス」の記事における「車載以外の全ての民生用SoCから撤退(2013年)」の解説
「R-Car」はARMをコアとする旧NECエレの車載向けSoC「EMMA Car」を引き継いだものである。2011年当時のルネサスの車載SoC事業は、SHマイコンをコアとする旧ルネサスの「SH-Navi」が過半を占めており、市場シェアは国内で97%、海外で57%と圧倒的であったが、新生ルネサスの次世代車載SoCにおいては、このSH-Naviを打ち切ってEMMAをベースにするという、思い切った事業判断を行った。1990年代後半から2000年代にかけて栄華を誇ったSHマイコンは、2011年時点においてはもはや車載でしか使われておらず、スマートフォンやデジタル家電などの民生用機器とリソースを共有するために、ARM(Cortex-A9)の搭載はもはや必須事項となっていた。またSHマイコンは那珂工場でしか製造できないことから、2011年3月の東日本大震災で那珂工場が被災した際に車載SoCが供給できなくなったのに対し、R-CarはTSMCでの委託製造ができるため、複数の工場で生産する「マルチファブネットワーク」を構築できるという利点もあった。この判断は成功し、ルネサスの車載LSIの世界シェアは2014年時点で7割に達し、2014年には先進運転支援システム(ADAS)対応R-Carの第1世代である「R-Car V2H」をリリースすることができた。 「R-Home」も、NECエレのデジタル家電向けLSI「EMMA」を引き継いだものであるが、アーキテクチャは「MIPS32 4KE」から「Cortex-A9」に変更されている。世界初となるデジタル放送受信用のSTB向けSoCとしてNEC時代の1998年に発売された「EMMA」は、DVD・ブルーレイプレーヤー、レコーダー、デジタルテレビなどの機能を1チップで実現するSoCとして非常に広範囲に採用され、2011年2月には累計で1億個を超えるほど普及したが、ルネサス時代の2011年に発売された「EMMA3SE/P」を最後に「R-Home S1」にバトンタッチされた。2012年に発売された「R-Home S1」も、デジタルテレビや家庭用マルチメディアサーバ用として、EMMA時代と同じ月産100万個程度を想定していたが、「R-Home S1」は全く採用例が無く、2013年までに事実上消滅した。 携帯向けの「R-Mobile」は前述の通り失敗しており、ルネサスは携帯向けSoCと家電向けSoCから撤退した。こうしてルネサスは、産業革新機構の傘下となる2013年までに、車載を除くすべての民生用SoCから撤退した。
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