身分・経済力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/09 08:16 UTC 版)
蘭書やオランダの文物・珍品は非常に高価であり、購入には莫大な経済力が必要だったため、「蘭癖」と称される人物には、学者よりも大商人や大名、上級武士などが多い。特に藩主の場合は「蘭癖大名」等と呼ばれる。殿様趣味の枠を超えて、自ら蘭学研究を行ったり、学問の奨励など、文化的な評価は高い反面、島津重豪を代表として蘭学趣味が高じて藩財政を窮地に陥れるなどの傾向も見られる(勿論例外もある)。 蘭癖大名の分布としては、主に九州の外様大名が多い。これはオランダに開かれた港・長崎が近く、蘭書や輸入品の入手が容易だったことと無縁ではないだろう。その点、関東に所領を持つ譜代大名の堀田正睦や出羽(秋田県)久保田藩主佐竹義敦などはかなり例外的である。 このような蘭癖大名の典型例として知られる代表的な人物として、シーボルトと直接交流のあった長崎警固を勤めた福岡藩主の黒田斉清や薩摩藩主・島津重豪が挙げられる。重豪の子である奥平昌高・黒田長溥や、曾孫の島津斉彬もまた、重豪の影響を受けたためかそれぞれ蘭癖大名と称されるほどであった。
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