起源の考察
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/01 05:27 UTC 版)
近代医学の発達以前は多くの身体的異常は治療ができず、奇形をもった子供が生まれたときは妖精のせいにすることも一般に見られた。アウター・ヘブリディーズのマックコードラム (MacCodrum) 家では遺伝的に指の間に角状の奇形が生じ、彼らの手は水かきに似た形をしていた。その説明として、彼らは自分たちを漁師とセルキーの夫婦の子孫だと言ったため、彼らは「あざらしのマックコードラム家」として有名になった。民話研究者、古物収集家であるスコットランド人のデイヴィッド・マクリッチー (en:David MacRitchie) は、スコットランドに初期に渡った人々がフィンランド人やサーミ人の女性と恐らく出会い、そして更には結婚し、彼女らが着ていたあざらしの皮でできたカヤックや衣服を見て、彼女らをセルキーだと誤認したのだろうと述べている。他にも、セルキーに関する伝承はフィンメン(デービス海峡のイヌイット)の目撃を誤って解釈したことから生じたのだ、という可能性を指摘する者もいる。イヌイットの服とカヤックはいずれも動物の皮革で作られており、どちらも水分を含むと浮力を失うため、乾かす必要があった。そして彼らがその服を脱ぐ様子や、岩に置かれた皮の横に寝そべっている様子を見て、あざらしから人間に変身する能力があるのだという迷信につながったのだと考えられている。 他の説としては、難破して岸へと流されたスペイン人の漆黒の髪があざらしに似ていたのだ、というものもある。人類学者のA・アスビオーン・ジョン (A. Asbjorn Jon) が自著で述べたように、セルキーは「溺死した人の魂から超自然的に生じたと伝えられている」ことを示唆する強固な伝承の体系が存在する。
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