起源は一度か?
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/29 17:37 UTC 版)
眼の起源が一度であるか、複数回であるかは、眼の定義にも依存する。眼の形成に用いられる遺伝的機構は、眼を持つ多くの生物に共通している。これは祖先がなんらかの光感受性のある器官を、専門化された光学器官は欠いていたとしても、用いていたことを示唆する。しかし光受容細胞でさえ、分子的によく似た化学受容細胞から何度か進化した可能性がある。光受容体細胞もおそらくカンブリア爆発のかなり前から存在していた。高位の類似点、たとえば脊椎動物とタコ類で独立して水晶体にクリスタリンが用いられていることなどは、より基本的な役割を果たしていたタンパク質が眼で新規の機能を持つに至ったコオプション(外適応)が起きたことを意味する。 すべての光受容器官に共通する特徴は、オプシンと呼ばれる光受容タンパク質ファミリーを持つことである。全部で七つのオプシンのサブファミリーは動物の最終共通祖先の中ですでに存在していた。加えて、眼の位置決定のツールキット遺伝子はすべての動物で共通である。PAX6遺伝子はマウスからヒト、ショウジョウバエにいたるまで、個体のどこで眼を発達させるかを制御している。これらの上流遺伝子は、現在それらが制御している構造のほとんどよりもずっと古いことを意味している。眼の発達に関して新しい役割を獲得する前には、異なった機能を持っていたはずである 。感覚器官の進化はおそらく脳よりも前だった。脳は処理すべき情報をもたらす感覚器より前には存在する必要がなかった。
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