費用と資金調達
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/29 01:32 UTC 版)
運河の拡張と各トンネルの建設には、600億エジプト・ポンド(84億米ドル)ほどの費用が掛かると見積もられている。このうち半分は新運河の掘削で、残りは6本のトンネルである。アッ=シーシー大統領は外国の投資家の出資を認めず、代わりにエジプト人がこのプロジェクトに出資するように促した。当初は、プロジェクトの一部を民間所有にすることを認めて、株式市場で株式公開することでプロジェクトの資金調達を図ることになっていた。しかしエジプト政府は資金調達方針をすぐに変更し、出資者に対していかなる所有権も認めない、利子つきの投資証券によることにした。エジプト国民は10エジプト・ポンド、100エジプト・ポンドあるいは1,000エジプト・ポンドの証券を買うように求められた。最小金額の証券は、学生にもプロジェクトに出資できるようにするためのものであった。アッ=シーシー大統領が9月1日に署名した法律によれば、ミスル銀行(英語版)、エジプト国民銀行(英語版)、カイロ銀行(英語版)、スエズ運河銀行が、スエズ運河庁の発行する5年譲渡不可証券を、エジプトの銀行が発行する類似証券に比べて1.5ポイントほど高い12パーセントの利率で販売する。販売収入の大半を占める1,000エジプト・ポンド証券に対する利子は、四半期ごとに支払われる。より少額の証券に対する利子は5年後に支払われる。出資者は、証券を買うのに必要な金額の90パーセントまで銀行から借り入れをすることが許され、これは全体の6パーセントほどにあたる40億エジプト・ポンドにまで達した。全証券の82パーセントが個人に販売された。証券からの利子は非課税とされた。ヒシャム・ラメズエジプト中央銀行総裁が驚いたことに、投資証券はわずか8営業日で売り切れ、中央銀行はそれ以降の新証券の発行を停止した。財務省が証券を保証しており、中央銀行に四半期ごとに支払う利子のための19億エジプト・ポンドの資金を特別口座に別に管理したため、政府の歳入を他に使う余地が少なくなった。 アッ=シーシー大統領がこのプロジェクトを発表した後、エジプトの株式市場は一時的に過去6年で最高値に上昇したが、9月になると急激に下落した。
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