誤差の修正
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 03:08 UTC 版)
ロードブックに記載されている走行距離はオフィシャルの計測車両が事前走行した際のデータによるものだが、競技車両との間にはトリップメーター誤差が発生する。これはタイヤの減り具合や空気圧、トリップメーターの製造時誤差などに起因し、そのまま競技を行うと、それぞれ車に計測距離の違いが生じる。これを修正するため、スタート地点からある程度の距離にオド・メーター・コントロール・ポイント (OMCP) と呼ばれる地点が設けられる。ナビゲーターがこの地点でオフィシャル車両の計測した距離と競技者車両の誤差を校正し、OMCP後の区間の計測距離を補正する。 ロードブック上のOMCP地点には、オフィシャルが計測したスタートからの距離が記載されている。この記載されている距離が、例えば10.0kmであるのに対して、自車がスタートからこの地点まで来た時のトリップメーターの数字が11.0kmであった場合、修正係数は11.0/10.0即ち1.1となり、自車は指示速度に1.1を乗した速度で走る必要が生じる。 この修正係数及び指示速度の算出には、古くは筆算、計算尺、歯車式計算機などが用いられた。クルタ計算機はラリー競技者に愛用された歯車式計算機のひとつである。しかし、交通戦争などの社会事情からラリーへの風当たりが強くなると、ラリーは指示速度が頻繁に変更される計算ラリーと呼ばれる形態に姿を変えて行き、簡単な算出方法が必要とされるようになった。 この需要に答えたのが、「円盤」と呼ばれるラリー専用の計算尺であった。これは、互いの角度を固定できる2本の針をもった円盤式計算尺で、まず一方の針をロードブック上のOMCPの距離(先の例の場合10.0)の目盛りに合わせ、もう一方の針を自車がこのOMCPまでに走った時点でのトリップメーターの距離(先の例の場合 11.0)の目盛りに合わせて、2本の針の角度を固定する。その後、最初の針を指示速度の目盛りに合わせると、もう一方の針が指す目盛りの速度が、自車が走行すべき速度になるというものであった。 しかし1980年代にトリップメーターと電卓が内蔵された専用のラリーコンピューター(通称ラリコン)が出現し、これらの算出用具を一掃した。ラリコンはグローブボックスに嵌め込まれ、現在時刻やスタート時刻、指示速度を入力すると自動的にファイナルタイムが表示される(操作するのは相方であるナビゲーター)。OMCPでオフィシャル数値を入力すると以後トリップメーターが自動的に補正される。
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