該当事由
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 02:19 UTC 版)
具体的にどのような行為が労働者にあれば懲戒解雇となるかは各会社の就業規則の定めによる。 労働基準法上の「労働者の責に帰すべき事由」の例としては以下のように示されているが、具体的には個別に判断される(昭和23年11月11日基発1637号、昭和31年3月1日基発111号)。実際の就業規則においても、これらに準じた構成となっていることが多い。 事業場における盗取、横領、傷害など刑法犯に該当する行為のあった場合 賭博、風紀紊乱等により職場規律を乱し、他の労働者に悪影響を及ぼす場合 雇い入れの際の採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合 他の事業場へ転職した場合 原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合 出勤不良または出欠常ならず、数回に渡って注意を受けても改めない場合 具体的な事例としては以下がある。 無断欠勤 開隆堂出版事件(東京地判平成12年10月27日) - 事前の届をせず、欠勤の理由、期間、居所を具体的に明確にしないままの2週間にわたっての欠勤。正当な理由は認められないと判断し、懲戒解雇を有効と判断した。 栴檀学園事件(仙台地判平成2年9月21日) - 大学の専任講師が正当な理由なく1ヶ月間無断欠勤。業務に大きな支障がなかったこと、勤務成績が他の従業員と比較しても劣ることがなかったこと、上司が再三再四にわたり特に注意したりしなかったこと等から、懲戒解雇を無効と判断した。 経歴詐称 炭研精工事件(最判平成3年9月19日)- 高等学校卒業以下に限定して採用している工員として採用されるにあたり、大学中退であることを秘匿し高卒として申告、また逮捕歴の事実を秘匿していた。「単に労働者の労働力評価に関わるだけではなく、会社の企業秩序維持にも関係する事項であることは明らか」として、懲戒解雇を有効と判断した。 近藤化学工業事件(大阪地決平成6年9月16日)- 採用に当たり学歴不問としていた会社で、中卒を高卒と詐称。懲戒事由の「重要な経歴詐称」には該当しないと判断した(本件では職歴及び家族構成についても詐称があり、就業状況も不良であったことから解雇自体は有効と判断した)。
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