設備の疲弊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/25 15:22 UTC 版)
鉄道の線路や車輌は、一定の期間に定期的に整備を行わないと機能が低下する。整備には「人手」・「資材」・「資金」が必要だが、戦争中期以後男性は軍隊に招集されて人手が減り、資材も不足していた。また国鉄の収益の大部分は「臨時軍事費」という名目で国に徴収された一方で、配分された資材はまず貨物用機関車の大増産などに振り向けられていた。結果として、保有車両・地上設備に対しての必要な整備は満足にできていなかった。 後年の藤井松太郎総裁時代、国鉄技師長となった瀧山養は、次のように述べている。 国鉄は戦時中の急テンポの軍需増産と海送からの転移により、戦前(以下昭和十一年度を指す)の二・六倍の貨物輸送と二・九倍の旅客輸送を強制されたが、これに必要な資材が確保されなかったので、車両と施設とを酷使せざるを得なかった。例えば、車両の保守用鋼材は全体で七割以下に削減されながら、逆に二割の過積を認め、軌条の如きは漸減して戦争末期には平年の一割以下の補充しかできない状態であった。 — 瀧山養(当時国鉄総裁室審議室調査役)「国鉄の現状と悩み真相を訴える」『世界』1954年7月
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