触媒メカニズム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 14:33 UTC 版)
「パパイン様プロテアーゼ」の記事における「触媒メカニズム」の解説
SARS-CoV PLproは、システインプロテアーゼの触媒サイクルを通じて機能する。このサイクルでは、Cys112が求核剤として機能し、His273が酸塩基機能を担い、最後にAsp287がヒスチジンとペアになってシステインの脱プロトン化を形成して促進される。 Cys112のプロトン化が基質への求核攻撃に先行するかどうかは、科学界でまだ分かっていない。また、反応性のある求核種がチオール-ヒスチジンのチオールイオンなのか、または、リガンドと反応後にチオニウムイオンが生成されるセリンペプチダーゼと同様のメカニズムで作用する中性電荷のチオールなのかについても不明である[訳語疑問点]。 最初のステップ「E」では、SARS-CoV PLproの触媒残基は水素結合によって結合しており、比較的短い距離で分離されている(図を参照)。この事実は、プロトン化したCys112がHis273と平衡状態にあり、一方で、基質との結合によって反応性チオールが平衡状態になるという可能性を示す。しかし、基質が結合して複合体「ES」を形成する際に、Cys112の脱プロトン化が起こる可能性は否定されていない。次のステップでは、Cys112チオールがペプチド結合のカルボニル-カーボネートと反応し、負に帯電した四面体の中間体が形成される[訳語疑問点]。この四面体の中間体は、トリプトファン残基(Trp107)を持つオキソアニオンで構成されており、生化学的基質が結合する酵素PLproの活性部位にある隣接するオキソアニオンホールの存在によって安定化されている。アスパラギン(Asn110)などの他の残基は、コロナウイルスのPLP2に共通して存在し、オキソアニオンホールの安定化にも寄与している。次のチオエステル中間体「F」は、C末端のアミドの除去と、ペプチド結合の破壊により形成される。チオエステルのカルボニル炭素に水分子が加わると、負に帯電した第2の四面体中間体「TI-2」または「FQ」が形成される。サイクルのこの時点で、PLproの活性部位にあるオキソアニオンホールによって、「TI-2」オキソアニオンの安定化が再び起こる。第5段階では、四面体の中間体からシステインが切断され、N末端の「EQ」カルボン酸が形成される。このカルボン酸は、形成された酸のカルボニル炭素とTrp107の窒素との間の水素結合を介して、PLproの活性部位に一時的に配置される。最後に、切断されたペプチドのN末端を除去することで、PLproの触媒サイクルが完了する。最終生成物「Q」が活性部位から放出され、その結果、酵素「E」が再生される。
※この「触媒メカニズム」の解説は、「パパイン様プロテアーゼ」の解説の一部です。
「触媒メカニズム」を含む「パパイン様プロテアーゼ」の記事については、「パパイン様プロテアーゼ」の概要を参照ください。
- 触媒メカニズムのページへのリンク